アングレカム レオニスを育てる

Anguraecum leonis

どんな植物か

アングレカム レオニス(Anguraecum leonis)という着生ランがあります。
なぜかここ数年、ホームセンターでも花つきの株をよく見ます。どこで見ても同じデザインのラベルがついています。写真入りの大きめなラベルで、趣味人向きというより一般向きに販売している、という雰囲気でした。ですから、アングレカムの中では一番普及しているんじゃないかと思います。アングレカムは超小型から超大型まで、大きさは種によってさまざまですが、レオニスは横にも上にも大げさに伸びない、小型の部類に入ると思います。

Angcm. leonis 2S字に曲がった距。花が開くころにはもっと長くなります。

春~初夏に咲く花は幅3cm~5cmくらいで、透明感のある白です。花びらは肉厚で、表面はちょっときらきらとラメが入ったような質感になります。夜から明け方にかけてほのかに香ります。一本の花茎に数輪咲き、株が大きくなると一度に数本の花茎を出すようになります。花の後ろ側に長く伸びる距は面白い形です。
葉っぱは肉厚で、左右交互に出ながら上に伸びていきます。よく見られる単茎性のランと同様に、茎は伸びません。暑い環境はかなり好きみたいで、真夏はぐんぐん生長します。といっても生長スピードはさほど速くなく、1年に新しく出てくる葉っぱの枚数は1.5~2枚くらいです。冬は10℃程度あれば越します。

栽培メモ

当方の環境下での栽培メモです。参考程度にご覧いただけると幸いです。
Angcm. leonis 3この株で鉢は直径7.5cm。株の大きさに対して鉢が小さく見えますが、通気性や湿り具合を考えると、これくらいで丁度よいバランスです。

肥料はあまり与えなくても育ちます。夏前にマグァンプなどを少量置肥するか、気づいたときに薄めの液肥を与えるくらいで問題なく育っています。気温が高くなって新しい根をばんばん出してきたらたっぷりと水を与えます。元気な時期は水を吸うと葉っぱに張りが出ます。気温の低い冬~春先は休眠状態であまり水も吸わないので、1ヶ月に1回少し湿る程度で十分です。この時期は葉っぱ全体にしわがよることが多いですが正常です。

最低気温10℃以上を目安に、屋外やベランダの明るい日陰におきます。風通しのよい場所に吊るしておくのがベストです。冬は最低気温が10℃を切るころ、室内の明るい場所に置きます。強い陽射しに当てると葉が傷みます。特に夏から秋の直射日光には注意です。日の当て方は環境によって異なってくると思いますが、自分の栽培しているところでは春と秋は30%、夏~初秋は50%くらいの遮光が丁度くらいだと感じました。もうちょっと遮光しても、大丈夫な気がします。アングレカムは比較的寒さが苦手だと思っていましたが、レオニスに関しては案外寒さに強いようです。

通気性がよくて、湿り具合がわかりやすく、多少水が多くても傷むことが少ないので素焼き鉢にミズゴケで植えています。ミズゴケは株がぐらつかない程度、ゆるめにつめています。植え替えはあまりしなくてよいと思います。購入当初プラ鉢に植えられていたので、それを素焼き鉢に植え替えて丸2年くらいそのままですが、元気です。特に鉢が根詰まりしている感じでもありません。

デンドロビウム ブロンカルティ Den. bronckartii

Den. brockartii
ブロンカルティはカリスタ系デンドロビウムの原種です。どちらかというと、アマビレ(Den. amabile)の名前でよく知られているかもしれませんが、最初についていたラベルにブロンカルティと書かれていたので、そちらを尊重します。

バルブの上方から花芽を出して、垂れ下がるように数十輪の花を咲かせます。株姿や花の咲き方は、まさにカリスタ系といった感じです。花の大きさは幅3cmほどと小ぶりですが、一度にたくさん咲くのでゴージャス?です。花色はピンクで、リップに黄色い目が入ります。ファーメリー(Den. farmerii)の花色を濃くしたような感じです。株が大きくなると複数のバルブから同時に花が咲く上に、充実したバルブにはたくさんの花が付きます。’ベニボタン’をはじめ、個体名のついたものをらん展の展示などでちらほら見ます。

当方が育てているものにも’Pink Lady’の個体名がついていますが、個体の特徴など詳細はよくわからないです。花命は短くキレイな状態で見られるのは10日ほどです。
Den. brockartii2
そういう個体なのか、まだ株がさほど大きくないからか、あまり花茎が伸びず、花穂は下垂すると言うより横から斜め下に向かって伸びている感じです。花芽は2本つきましたが、同時には咲いてくれませんでした。もう一本の花芽はもう少し時間がかかるでしょう。

無加温で育てて、初夏くらいに花が咲きます。冬でもある程度の温度(5月くらいの気温?)をキープできると、春先くらいに花が咲くのかもしれません。耐寒性はわかりませんが、10℃程度の場所で特に傷みもなく冬を越します。同じ系統のアグレガタム(Den. aggregatum)やクリソトキサム(Den. chrysotoxum)はもう少し低温でも元気なので、ブロンカルティも案外もう少し低温でも大丈夫かも、怖いからやりませんが。

気温の高い時期はたっぷり水をやりますが、冬は基本的に断水します。やるとしたら、霧吹きで葉っぱを少し湿らす程度です。冬の低温と断水により花芽を作るスイッチが入るとされます。花付きがよく、デンドロ原種のなかでも比較的とっつきやすいのではないかと思います。デンシフローラムとかアグレガタムと相性がよい方は、まず間違いないんじゃないでしょうか。

セッコクの兜咲き

P1070840

はじめに

セッコクも品種により、色々な花姿があります。あんまり知りませんが、それぞれに特長があり、そして魅力的です。このたび紹介したいのは、そんな中でも「兜咲き」と呼ばれるセッコクです。なんというか表現しづらいので画像を見てください、こんな咲き方をするのが兜咲きです。極端に花びらが短くて、花の付け根当たりがくっついて半開きというか、距の部分が太短いというか…定義は知りませんが、そんな姿です。株の大きさは普通のセッコクですが、花の大きさは粒状でかなり小さいです。
P1070837SDカードと比べるとこんな感じでの大きさです

品種

本来たくさんの品種がありますが、とりあえず2品種(というか、この2つしか育てていません)。
Den. moniliforme \'Zuikaku\'瑞鶴(ずいかく)
花色は白っぽく見えますが、クリーム色っぽいようなかんじの淡い黄色です。咲き始めから時間の経過とともに黄色みが強くなっているような気がします。
Dendrobium moniliforme \'Miyakohime\'都姫(みやこひめ)
主に花びらの縁あたりが紅色になります。花びらはかなり短くて、花全体が筒状に見えます。

おわりに

品種にもよるのでしょうが、往往にして花付きがよいです。性質も他のセッコクと変わらずに丈夫です。花は大きく開かないので、かなりちっちゃいですが、大株になると一度にたくさんの花が咲いて賑やかです。矢(バルブ)に小粒の花がポンポッと咲く姿は、他のセッコクとは違ったかわいらしさがあります。

Den.ノビルの変種 クックソニアナム

Dendrobium nobile var. cooksonianum 2Den. nobile var. cooksonianum 
デンドロビウム・ノビルは交配親として有名な原種ですが、今ひとつ人気がないように感じます。しかし、自分の中では一番好きなデンドロ原種の1つです。慣れれば真夏の直射日光でもぴんぴんしてますし、寒さにも強いです。手間もかからず花ももちろんキレイです。ただ、数輪ちょこちょこと咲くのですが、一斉にたくさんの花を咲かせることは、栽培に慣れていないとむずかしい気がします。
Den.nobile var. cooksonianum4花の咲いている上の節から高芽
また、株の大きさも花付きに影響するでしょう。大株になっていくと花付きはよくなるのかもしれません。花芽が高芽に変わってしまう?こともよくあります。1つのバルブで花を咲かせつつ、上の方では高芽が生長しつつと言うこともあります。
Dendrobium nobile var. cooksonianumクックソニアナムの花
ノビルにはいくつもの変種が知られています。ここで紹介するクックソニアナムもそんな変種の1つです。生育旺盛で、高芽でガンガン増えるからか、単なるノビルよりも比較的栽培されているように感じます。その他にもノビルの変種は、純白花のバージナリスや大輪のサー F. W. ムーアなどが有名です。
Dendrobium nobile var. cooksonianum 3花びらに紫色の大きなブロッチが入ります
一番の特長は花びらの付け根当たりに紫色のブロッチが入ることです。リップにも同様のブロッチが入ります。花の開き方が少し不安定で、よじれたりすることもあります。基本的に大きく平開せず、花びらの先端が後ろに大きく反り返ります。
原種洋蘭図鑑によると、クックソニアナムは「花弁がすべて唇弁化した個体」と記載されています。となると、クックソニアナムは三蝶咲きのノビルと言うことになります。花びらの開き方が不安定なのはそのあたりにヒントがあるのかもしれません。また、花びらに厚みがあり、表面にフェルトのような毛が生えているところも、唇弁化の影響かもしれません。

セロジネの原種いろいろ

セロジネの原種はラン展や即売会などでも比較的リーズナブルな値段で並んでおります。丈夫でよく増えるものもある反面、ちょっと高温多湿や低温に弱い種もあります。ここでは、比較的とっつきやすくてかわいらしい、セロジネの原種をいくつか紹介します。
Coelogyne flaccida \'Lucky Boy\'セロジネ フラクシダ ’ラッキーボーイ’ Coel. flaccida ‘Lucky Boy’
2月の中旬頃に開花。花茎は湾曲して下向きに垂れ下がります。花の大きさは4cm~5cmくらいで色は白ですが、うっすらと赤茶色がかっているように見えます。一本の花茎から7~10輪程度の咲きます。リップには黄色いブロッチとともに、赤茶色の筋が入ります。芳香が強めです。画像は’ラッキー・ボーイ’と呼ばれる個体です。
Coelgyne lacteaセロジネ ラクテア Coel. lactea
3月の下旬頃に開花。花の大きさや姿は上記のフラクシダに似ていますが、こちらは花茎が直立します。また、花の白さはこちらの方が鮮やかです。気温の少し上がった時期に咲いたからか、花命が2週間程度と若干短く感じました。
Coelogyne ochraceaセロジネ オクラセア Coel. ochracea
4月中旬に開花。強健かつ花付きのよい原種です。花茎は直立からやや斜上して、数輪の白い花を咲かせます。リップに入る黄色いブロッチは濃いオレンジの縁取りが入ってかわいらしいです。バルブは縦長の細いタマゴ型でつやつや、密生して生えます。芳香はありますが余りきつくないです。

どれも同じような花に見えますが、ちゃんと見るとそれぞれに個性があります。基本は初夏~秋にしっかり遮光(春秋は50%、真夏は70%くらい)して、たっぷり水を与え、風通しをよくすること、以上3点です。冬は5℃~7℃程度あればとりあえず大丈夫のようです。性質はどれも同じような感じですが、特にバルブの伸び方や花芽の多さなどを考えると、オクラセアが強健さでは半歩出ている気がします。

楽しいデンドロビウム

ノビル系の交配種は古くから色々あります。バルブさえちゃんと育てれば、花が咲くことは多いですが売っているもののように、バルブの上から下までびっしりと咲かせる、と言ったことは自分にはむずかしいです。冬の初めに小さな花芽が確認できると、それはもうテンションが上がります。栽培が報われたといった感じに。花芽は秋にバルブがぱんぱんにふくらんだときと同じくらいうれしいものです。冬にじわじわと花芽がふくらんで、春になると一気に開花してくれます。
Den. Sweet Candyスィート・キャンディー 花付きが抜群によい品種です。バックバルブから複数の新芽が出た場合、作落ちして花が少なくなるケースがあるのですが、この品種はほぼそれがないです。
Dendrobium Himezakura\'Fujicco\'ヒメザクラ ’フジッコ’ ほんのり桜色の花びらがかわいらしい品種です。今ひとつ伸び切らなかったバルブにまで花芽を付けるので、ちゃんと仕立てたら満開時すごい豪華になると思います。しかし、鉢花で出回っているものはもっとピンクが濃いのも見るので温度とか日照で色幅はあるのかもしれません。
Den. Second Love \'Tokimeki\'セカンドラブ ’トキメキ’ バルブが完成して花芽が上がってきている株を手にしたので、どの程度強いのかはよくわかりません。ただ、前年バルブと比較してかなり細くいリードバルブにしっかり花が咲いたので、花付きはよいようです。昔からよく聞く品種で、花のかわいらしさからそれも納得できます。
Dendrobium  Sigiriya Ladyシギリヤ・レディー こちらも、昨秋にバルブの完成した株を手に入れたものです。リップに入る目がノビルを彷彿とさせます。かなりひょろっとした姿なのですが、本来の姿とは違う気がします。しっかり育てると、どのくらいの大きさになるのかが楽しみです。
Dendrobium unknown不明品種 栽培している中では古株で、花終わりの処分品を手に入れたものだったと思います。スプリングドリーム’アポロン’のラベルが付いていたのですが、当該品種は純白花のハズなので違う気がします。
Dendrobium Oriental Spirit ’Bizen Akebono\' オリエンタルスリピット’ビゼン・アケボノ’ バルブが細めの品種で、生育が旺盛な強健種です。花付きもよいです。単に「ビゼンアケボノ」の名前で出回っていることもあります。

夏のファレノプシス・ベリーナ

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ファレノプシス、要するにコチョウランの仲間というと、ゴージャスな花を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実にいろいろな系統があります。その中でも夏から秋咲きのファレノプシス・ベリーナ〔Phal. bellina〕はとっつきやすくて花つきのよい、お勧めのファレノプシス原種です。

とっつきやすいと思うポイント

・ある程度強い日射しでも葉焼けしにくい
・気温が高くて元気な時期につぼみを付けるので、低温や生育不良でつぼみが枯れることが少ない
・比較的低温にも耐える(経験では5℃~7℃程度)
・花の香りがよい(個体差や季節でちがいがあるかも)

こんなところが通常のコチョウランと違う

生育サイクルなどが通常のコチョウランと少し異なるので、その「違い」を見ていきましょう。
その1 花の咲く時期が違う
通常
冬の休眠期に花茎を伸ばして春に咲くものが多いです。
ベリーナ
春に気温が高くなってくると花茎を出して、夏のはじめから秋の終わりくらいまで開花します。

その2 花の咲き方が違う

つぼみを付けながら花茎をさらに伸ばしていきます。
つぼみを付けながら花茎をさらに伸ばしていきます。つぼみの右側に見えるのが花茎の芽先です。

通常
ややタイムラグがあるものの、同時期にたくさんの花が咲きます。花茎の先端のつぼみが咲ききれば、切り戻したりしない限り、それでその花茎の開花は終わりです。
ベリーナ
まず、花茎が少し伸びて1つのつぼみがつきます。そのつぼみがある程度大きくなると、更に花茎を少し伸ばして新たなつぼみをつけます。それの繰り返しで、つぼみをつけながらどんどん花茎を伸ばしていきます。一度に見られる花数は1輪~2輪程度です。枯れたら次のつぼみが咲く、と言った感覚に近いです。一株から複数の花茎を出すこともよくあります。1本の花茎で数年間花を咲かせ続けることもあります。また、秋に少しだけ出た花芽が咲かずに冬になって生長が止まり、春になって伸び始めることもあります。

その3 葉や根っこが違う
通常のコチョウランに比べて、葉の厚みが薄くて、光沢があります。根の太さはやや細めです。その反面、花びらにやや厚みがあります。水を貯蔵したり乾燥に耐える必要のあまりない、案外湿潤な環境に自生しているのかもしれません。

共通するところ

全体。葉の出方などは通常のコチョウランと変わらないです。
全体。葉の出方などは通常のコチョウランと変わらないです。

1枚の葉っぱが生長したら、次の葉を出すと言う成長の仕方は共通しています。全体的な株姿も同じようなものです。栽培も通常のコチョウランに準じるところはありますが、ベリーナのほうが性質は強めで育てやすいと思います。

栽培雑感

置き場所
うっかり葉焼けをさせたことがないので、日射しには比較的強いようです。冬以外は基本屋外の半日陰ですが、通常のファレノプシスよりも明るい場所 -真夏でも午前中少し日の入るところ- でよく育っています。その方が花付きがよいような気がします。風通しのよい場所に吊しておくと機嫌がいいです。冬は室内に置いてますが、5℃~7℃程度の室内でも特に枯れていません(生長は止まります)。
日常の管理など
用土はバークチップを使い、素焼き鉢に植えています。水やりは夏は毎日、春と秋は乾いていたらたっぷり、冬は2週間に1回くらいです。肥料は梅雨頃から2週間に1回くらい薄めの液肥を与えてます(秋まで)。あまりたくさん要りませんが、少し与えると元気のような気がします。
花芽や葉の一部がなにものかに食害されたことがあるので、春先にスプレー式の薬剤を1度だけ散布しています。ナメクジではないと思う。
注意点
花茎が緑で生きているうちは切らないようにします。寒くなると生長が止まりますが、季節が変わって暖かくなると伸びて花を付けることが多いからです。

その他

見た目がすごくそっくりな仲間に、ファレノプシス・ビオラケアがあります。ベリーナとビオラケアは今ひとつ違いがわかりません。これらの原種って個体差とか地域差が多そうなので、さらに混乱します。
香りがよいと書きましたが、同じ花でもほとんど香らないときもあれば、すごく香りが漂うときもあり、夜とか朝とか時間帯で差があるのかもしれません。

季節はずれのデンドロ

ノビル系交配種は早春から春にかけて花が咲くのが一般的ですが、まれに季節はずれの梅雨時に少しだけ花を咲かせることがあります。

季節はずれに咲いたデンドロ

ヒメザクラ 'フジッコ'
ヒメザクラ ’フジッコ’

6月~7月ころの季節はずれ開花は大体花芽ひとつくらいで、開花すると2~3輪程度と株全体で見るとおまけみたいな開花ですが、特に変わらずきれいです。また、花芽がついてから開花するまでが1ヶ月~1ヵ月半と非常に早いのが特徴です。気温が高くて潤っていてデンドロにとってはよい季節なのでしょう。通常は10月~11月に花芽が出てきて、少しずつ大きくなって開花するのは2月~4月頃です。

なぜ季節外れに咲くんだろう

イエローソング 'キャンディー'
イエローソング ’キャンディー’

なぜ季節外れに少しだけ咲くんでしょうか。ちょっと考えてみました。
1本のバルブでも、上と下では成熟スピードが違います(見た目は変わらないです)。真ん中のあたりが一番早く成熟して、花芽もこのあたりが一番つきやすいです。それに比べて上や下は成熟スピードが遅れるので、上とか下が成熟しないまま冬を迎えてしまって、真ん中だけ花芽ができて春に開花、暖かくなって再び生長を始めて花芽のつかなかった箇所が成熟し、花芽を作るのではないかと思います。また、バルブが成熟してから一定の低温に当たらないといけない、といいますが、現在の交配種はいろいろな種が複雑に交配されていて、品種によっては低温が必須条件となっていないのかもしれません。生育期と休眠期もややあいまいですし(開花と新芽伸長が同時にすすんだりとか)。季節はずれ開花は、自分のところではバルブの先端のことが多いです。
寒さが来るまでにしっかりと作り込めたら、こんなことにならないのかなあ、とも思います。むずかしいです…。

梅雨に咲いてますランの花

梅雨のじめじめ時期でも、何かしらランは咲いてます。そんな夏に向けての地味めなランを2つほど紹介します。

オサラン Eria reptans

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本にも自生する小型の野生ランで、洋ラン的に属名でいうとエリアの仲間です。梅雨時期になるとバルブの先端から花茎を伸ばしてちっちゃな白い花が1~2輪くらいつきます。花の寿命はランの中では短い方で、開いて2~3日くらいでシミみたいなのがちょこっと浮き出てきてしおれていきます。一番キレイなのは開花直後くらいです。バルブが行儀よく直列に連なって増えていきます。冬は落葉します。

手のひらサイズ
手のひらサイズ

寒さに強くて、凍結に気をつければ屋外で越冬できます。とりあえず、半日陰でたっぷり水やりすれば機嫌良く育ちます。ヘゴづけにしても楽しそうです。

ポリスタキア プベスケンス Polystachya pubescens

OLYMPUS DIGITAL CAMERAアフリカの小型着生ランです。開花時草丈15cmくらい。開花期は梅雨時期から夏くらいです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAバルブの生長がよければ、1本の花茎から十数輪の花を下から順番に咲かせます。花色は黄色で赤褐色の横筋が入るのが特長です。花の大きさは1.5cmくらいです。バルブがなければ何となくキンランとか日本の野生ランを彷彿とさせるような花です。花の寿命は10日くらいですが、一気に咲かずに順番に咲くので1ヶ月以上は楽しめると思います。

めくるめく原種デンドロの世界 その3

デンドロビウムは種によって草姿はまちまちです。今回はそんな中でも多肉植物のような葉っぱがかわいらしいデンドロビウム、リケナストラムの仲間を紹介します。
デンドロビウム属リケナストラム節はオーストラリア北東部の熱帯地域にリケナストラム(Den.lichenastrum)、プレンティセイ(Den.prentisei)、トレッサエ(Den. toressae)の3種が分布します。ここではデンドロビウム属として解説していますが、分類がややこしく、バルボフィラム(Bulbophyllum)属やドックリリア(Dockrillia)属に分類される(もしくは、分類されていた)こともあります。

リケナストラム節はこんなデンドロビウム

肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです
肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです

このグループに共通することはバルブがなくて這うように伸びる茎に肉厚の葉っぱを付けることです。葉っぱの形に違いがありますが、おおむね小型でかわいらしいです。葉っぱはツヤツヤぷっくりしてたり、表面が梨地のように細かくざらざらになっていたりと葉の姿形の妙を楽しむことができます。そういう言葉はないのですが、熱帯雨林性多肉デンドロと勝手にカテゴライズしています。
葉っぱの付け根からすごくちっさいけども味のある花を咲かせます。大きさはおおむね幅4mm~9mm、色は幅がありますが、白や黄色っぽくてリップがオレンジや黄色になります。紫や赤っぽい筋が入るものもあります。

リケナストラムとプレンセティラ -種の紹介 その1-

Den. lichenastrum var. prenticei
多分 Den. lichenastrum var. prenticei

リケナストラムとプレンティセイは標高200m~1200mの熱帯雨林の中、直射日光の射し込まない日陰の岩上や木の枝に自生します。この2種は葉っぱの形以外ほぼ同じで、同種とすることもあります。また、プレンティセイはリケナストラムの変種(Den. lichenastrum var. prenticei)とする見方もあります。ちなみに、葉の形がリケナストラムは平たい豆粒のようで、プレンティセイはやや細長いです。自生環境も同じで、基本的な性質も変わらず、栽培にも違いはないと見てよいでしょう。このあたりの明確な分類は曖昧模糊としてむずかしいように感じます。リケナストラムには他にもトゥエンティシー(var. twenticii)やオーレア(var. aurea)などの変種が知られます。

トレッサエ -種の紹介 その2-

トレッサエはこのグループ中で最小の種です。標高1000m付近の熱帯雨林や疎林に自生します。上記の種と性質は基本的に変わらないようですが、疎林にまで広がるということは、やや日射しを好むのかもしれません。笹かまぼこをちっちゃくしたような輪郭の葉を付けます。葉っぱ同士が重ならないように、左右交互に出していく様もかわいらしいです。花茎が伸びないので、開花時は株に直接花がくっついているように見えます。

栽培メモ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA丈は大きくならずに這うように広がるのでヘゴやコルク付けにしても面白いのではないかと思います。鉢を使うなら、平たい鉢のほうがよさげです。深い鉢しかなかったら、下に詰め物するとか。栽培しやすいともいわれますが、自分はまだ育ててからが浅いので何とも判断できません。ヒントは・着生・日陰から半日陰、多雨で湿潤な環境に育つなどではないかと感じます。

※種の解説と分類については DENDROBIUM AND ITS RELATIVES を参照にしました。