めくるめく原種デンドロの世界 その4

ランは花の美しさやおもしろさもさることながら、その草姿も十分楽しいのではないかと思います。というわけで、個人的に好きな草姿のデンドロビウムを紹介したいと思います。今回は「デンドロ界のぺたんこ」こと、デンドロビウム・プラティガストリウムです。

Den. platygastrium デンドロビウム・プラティガストリウム

一見普通のバルブのように見えるが…
一見普通のバルブのように見えるが…

さっそくですが、その草姿を見ていきましょう。プラティガストリウムの草姿は見た目、よくあるノビル系デンドロビウムに似ています。しかしこれを90度、角度を変えてみると…

厚みがない
厚みがない

画像では少しわかりにくいのですが、厚みがなくて薄っぺたいのです。普通に棒状に生育すればよいものの、なぜプレスされてのされたような姿なったのでしょうか?すごい狭いスキマとかでも対応できるから?おそらく違います。自生地では木の幹を背もたれにして、逆さまに張り付いたりしてるのかも。
どちらにしてもこのぺっちゃんこ具合が最大の魅力と感じます。バルブのツヤツヤした感じもたまりません。

葉面が横を向く
葉面が横を向く

葉っぱの出方も微妙におもしろいです。お日様の光を効率的に受けられるようにか、葉面が斜め横から横に向きます。大株だと、このバルブは50cm近くの長さになるそうです。

追記

花は主に春に咲きます。クリーム色のちっさな花が一本の花茎に数輪まとまって咲きます。見た目はセッコクに近いです。育ててる感覚で、ノビル系とかとあんまり性質変わらないんじゃないかなあ、と思います。水やりとか日射しとか。耐寒性もさほど弱くなさそうですし。
見た目すごくそっくりなものに、デンドロビウム・ラメラツム(Den. lamellatum  Synonym:Den. platycaulon)があります。こちらもバルブぺちゃんこです。

めくるめく原種デンドロの世界 その3

デンドロビウムは種によって草姿はまちまちです。今回はそんな中でも多肉植物のような葉っぱがかわいらしいデンドロビウム、リケナストラムの仲間を紹介します。
デンドロビウム属リケナストラム節はオーストラリア北東部の熱帯地域にリケナストラム(Den.lichenastrum)、プレンティセイ(Den.prentisei)、トレッサエ(Den. toressae)の3種が分布します。ここではデンドロビウム属として解説していますが、分類がややこしく、バルボフィラム(Bulbophyllum)属やドックリリア(Dockrillia)属に分類される(もしくは、分類されていた)こともあります。

リケナストラム節はこんなデンドロビウム

肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです
肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです

このグループに共通することはバルブがなくて這うように伸びる茎に肉厚の葉っぱを付けることです。葉っぱの形に違いがありますが、おおむね小型でかわいらしいです。葉っぱはツヤツヤぷっくりしてたり、表面が梨地のように細かくざらざらになっていたりと葉の姿形の妙を楽しむことができます。そういう言葉はないのですが、熱帯雨林性多肉デンドロと勝手にカテゴライズしています。
葉っぱの付け根からすごくちっさいけども味のある花を咲かせます。大きさはおおむね幅4mm~9mm、色は幅がありますが、白や黄色っぽくてリップがオレンジや黄色になります。紫や赤っぽい筋が入るものもあります。

リケナストラムとプレンセティラ -種の紹介 その1-

Den. lichenastrum var. prenticei
多分 Den. lichenastrum var. prenticei

リケナストラムとプレンティセイは標高200m~1200mの熱帯雨林の中、直射日光の射し込まない日陰の岩上や木の枝に自生します。この2種は葉っぱの形以外ほぼ同じで、同種とすることもあります。また、プレンティセイはリケナストラムの変種(Den. lichenastrum var. prenticei)とする見方もあります。ちなみに、葉の形がリケナストラムは平たい豆粒のようで、プレンティセイはやや細長いです。自生環境も同じで、基本的な性質も変わらず、栽培にも違いはないと見てよいでしょう。このあたりの明確な分類は曖昧模糊としてむずかしいように感じます。リケナストラムには他にもトゥエンティシー(var. twenticii)やオーレア(var. aurea)などの変種が知られます。

トレッサエ -種の紹介 その2-

トレッサエはこのグループ中で最小の種です。標高1000m付近の熱帯雨林や疎林に自生します。上記の種と性質は基本的に変わらないようですが、疎林にまで広がるということは、やや日射しを好むのかもしれません。笹かまぼこをちっちゃくしたような輪郭の葉を付けます。葉っぱ同士が重ならないように、左右交互に出していく様もかわいらしいです。花茎が伸びないので、開花時は株に直接花がくっついているように見えます。

栽培メモ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA丈は大きくならずに這うように広がるのでヘゴやコルク付けにしても面白いのではないかと思います。鉢を使うなら、平たい鉢のほうがよさげです。深い鉢しかなかったら、下に詰め物するとか。栽培しやすいともいわれますが、自分はまだ育ててからが浅いので何とも判断できません。ヒントは・着生・日陰から半日陰、多雨で湿潤な環境に育つなどではないかと感じます。

※種の解説と分類については DENDROBIUM AND ITS RELATIVES を参照にしました。

めくるめく原種デンドロの世界 その2

洋ラン的にデンドロビウムというと、ノビル(ノビレ)系、ファレノプシス系、フォルモサム系などがメージャーで鉢花でも非常によく見かけるお手軽デンドロです。そこに加えて最近ではキンギアナム系の交配種もよく見るようになりました。ややマニアックですが、花びらがねじれまくったようなイメージのある(本当はそういうわけではないです)スパチュラータ系なんかもよい感じです。
デンドロビウムはたくさんの亜属に分かれていて、それぞれに特長があります。今回はラトーリア系デンドロビウム、その中でも比較的手軽なんじゃないかと思うDen.フォーベシーを紹介します。

ラトーリア系って

デンドロビウム・ラトーリア系、正確に言うとデンドロビウム属のラトーリア節はおよそ50種がフィリピンからサモアにかけて分布します。といっても、自生はパプアニューギニアに集中しており、9割方がここにあります。分布域は熱帯雨林の低地から高地までと広いです。
個人的にどんなんがラトーリア系なのかといわれてもむずかしいのですが、「花茎が立ち上がってじゃもじゃした毛の生えた花が数輪付く」みたいなイメージがあります。しかし、そのイメージに当てはまらないものも多くて、結局の所「パプアニューギニア熱帯雨林のデンドロ」と割り切って考えてます。花色は白とか薄黄色とか緑白色とかで赤褐色の斑点が入ったり、基本的に地味ですが花は中々立派で見てて飽きないパターン。

Den. フォーベシー Dendrobium forbesii

OLYMPUS DIGITAL CAMERAニューギニアの標高900m-1500m付近に分布します。春から夏咲きで、バルブの尖端から花茎を伸ばして数輪の花を咲かせます。花色は淡い黄色で幅は5cmくらいです。尖端のとがった花びらはややシャープな感じで、斑などの模様が入らないのですっきりとした雰囲気です。OLYMPUS DIGITAL CAMERAバルブは株元が細くて真ん中当たりが紡錘形に膨らみ、長さ30cmくらいになります。ほふく茎が伸びずに大きめのバルブが密につくので、株全体が塊状でかなり大きく見えます。自分の中では中~大型のデンドロかなと感じます。花を後ろから見ると、付け根がけばけばと毛が生えたようになっているところがおもしろい特長です。
日射しと風通し、水が好きなランで、肥料もしっかり与えた方がよいようです。

一息ついて初夏のラン

春の洋ラン開花ラッシュ(といっても、当方ではそんなことはないですが)が一息ついて、次は初夏のランです。といっても春に咲くものが遅れてようやくとか、不定期咲きのものがちらほらといった感じです。

Dendrobium Uaeng Thugne デンドロビウム ウェン・ツェン

OLYMPUS DIGITAL CAMERAみんな大好き黄花の原種、Den. lindleyi(リンデリー)をそのまま小さくしたような姿の交配種です。リンデリーは育てていないので知らないのですが、ウェン・ツェンはすごく花つきがよい種です。リップのふちが細かく切れ込んでいて、奥に行くほど黄色が濃くなり何か引き込まれそうな魅力があります。

Angraecum leonis アングレカム レオニス

OLYMPUS DIGITAL CAMERA咲いて間もないころはほんのり緑色がかっていて、なんとなくはかない雰囲気。夜に香るというのですが、当方にある株は全く香りがしません。距がみょーーんと長く伸びる姿が特長的です。ペタルが妙に反り返るのですが、そういう個体のメリクロンでしょうか。ホームセンターなどで見るレオニスも同じような花姿のものが多い気がします。昨年の11月ころから花芽が伸びてきて、無加温で冬越しさせて咲いたのが今でした。

Phalaenopsis sp. コチョウランの一種

OLYMPUS DIGITAL CAMERA3~4年前にやってきた花終わり品。どこにでもある中輪咲きの白花コチョウランです。これも、昨年10月ころからは花茎が伸び始めたのですが、4月の終わりころから1輪目が咲きはじめ、つぼみが一通り開いたのはちょうど今頃です。早めに花を終わらせて、葉の生長に栄養を持っていたほうがよいかもしれないです。

長生蘭って

長生蘭とはなんぞや

ここでは自分の理解している範囲で書きます。間違ってるかもしんない。
要するにセッコクというランです。姿形の変わったもので、ばしっと品種名が付いてるヤツなんかを長生蘭とか呼んで、東洋ランのカテゴリーに入れています。
で、洋ランというと花を主に楽しみますが、長生蘭は全身舐めまくるようにすべてを愛でます。
具体的にどこを愛でるのよ?と言われる「葉っぱ」と「」の部分です。茎の部分は「」と呼ばれます。洋ランに詳しい方なら、バルブと言うとおわかりかと思います。これらの部分の色や形の違いに萌え…もとい、注目されます。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA特に注目されるのは「」です。斑は葉っぱに入る模様のことです。白や紫など緑以外の色が葉っぱに混じりおもしろい模様を作ります。矢も大事ですが、特に葉を愛するカテゴリーが長生蘭と言っても言い過ぎじゃないと思う…。これらの部分の違いや特長を「」と呼び、特に葉っぱに出る特長のことを「葉芸」と言います。江戸の頃から栽培されている古典園芸植物だけあって、呼び方が粋です。
ただし「花」オマエは別だ!ということで、花のみが美しく、形や色の変わったものはあまり注目されず「セッコクの花物」とか呼ばれて長生蘭の「ちょ」ですら呼んでもらえないこともあります。そのあたりの判断・区別は自分の中で決着を付けていただくしか…。お国柄とか文化・風土の違いみたいなものであって、決して花を軽んじてるわけではないと思います。

色々な種類

ハリウッドよ!これが長生蘭だ!
ごたごた言うより見ていただくのが一番です。100種以上あるとかないとか言われていますが、縁あって育てているものを紹介します。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[朝日鶴]葉っぱの中心に太い筋状の白斑が入ります。矢が透き通るような飴色、「飴矢」と呼ばれています。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[天賜丸]矢がずんぐりしていて葉っぱが丸い。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[蜀紅錦]新芽に白とか紫の筋が入ってかわいい。でも葉っぱが大きくなると模様は消えます。

個人的な認識

自分は洋ランのデンドロビウムから入ったので「長生蘭=渋いデンドロ」と思ってます。真摯な愛好家に怒られそうですが。基本、ノビル系のデンドロや普通のセッコクと一緒にして栽培してます。原種というには人間の嗜好などが濃く入っていますが、交配種ほどもあざとくない、やっぱりデンドロと言っても独特の雰囲気を持ち、それが魅力だと感じます。うん、育てるというよりやはり『愛でる』と言った方がしっくりくるものではあります。

まとめ

以上、洋ランとかに比べるとかなり地味で、嗜好性の高い植物とも言えます。でもなんというかしみじみとした魅力があるのも確かです。春先になると、ホームセンターなどに並ぶこともけっこうあります。中には育てにくいものもあるそうですが、セッコクと変わらず丈夫なものもたくさんあります。こういう風に愛でる植物もあるんだなあ、ということで、いかがでしょうか。

セッコクはデンドロの夢を見るのか

OLYMPUS DIGITAL CAMERAセッコクは言わずと知れたデンドロビウムの1種です。デンドロビウム原種モニリフォルメであったり長生蘭であったり、扱いはランだったり山野草だったり古典園芸植物だったりと広いのか狭いのか、取っつきがよくわからない植物です。確実に言えることは「深い」ことでしょうか。そんなセッコク類がちょうど花どきです。

セッコク 名無し

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 名もなきセッコクです。純白ではなくほんのりとピンク色の入る花がかわいらしいです。品種名などはないのですけど、一番オーソドックスなタイプのセッコクだと思います。こうやって見るとやっぱりデンドロだなあ、しみじみ…。

セッコク 黄寿

OLYMPUS DIGITAL CAMERAん?白花じゃんと最初思いましたが、白花の品種と並べて「黄色だな」とわかりました。厳密に言うと、黄花と言うよりごく淡いベージュです。

セッコク 瑞鶴

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「兜咲き」と言う変わり咲きの一品種で、一見セッコクじゃないみたいです。花は粒状でちっこいです。最初見たとき何となく花の雰囲気がキンギアナムに似ているなあ、と思いました。実際は全然違いますけど。

セッコク 夕映え×紫天皇

OLYMPUS DIGITAL CAMERAセッコク同士の交配種です。花色と形だけ見ると、Den.カシオ-プに少し似ている…。カシオ-プも半分はセッコクですからさもありなん。花の大きさはこちらの方がかわいらしいです。

長生蘭 朝日鶴

OLYMPUS DIGITAL CAMERAセッコクなんですけど由緒正しき(?)長生蘭。こうやって見るとかわいらしい和の観葉植物です(愛好家におこられそう…)。花も確か咲くはずですが、まだ見ていません。バルブが透き通った飴色になろ「飴矢」で、葉っぱは真ん中の色が抜けた白中斑です。見ていてすごく飽きないです。

エンジェルベビー グリーン・愛

OLYMPUS DIGITAL CAMERAセッコクじゃなくて、セッコクの血が入ったデンドロ交配種です。と言っても、セッコクの混じったデンドロ交配種は大量にあるので、何となくここで紹介するのは違うかもしんない。交配系譜を調べると、原種にたどり着くまでけっこう手間がかかった記憶があります。それだけ色々な種が掛け合わさっている証拠。丈夫なところはセッコクに通じるところがあり、花付きの良さはその他の種のおかげでしょうか。デンドロとしては小型種ですが、セッコクよりはバルブは太くて大きいです。デンドロを育てて見たい方にはおすすめ。

何となく栽培

セッコクすべてがとっつきやすいとは言い切れませんが、とっつきやすいものが多いのは確かです。平地ならベランダで冬越しできますし、耐寒性は強いです。やったことはないですが、霜や寒風はダメじゃないでしょうか。春に新芽がぴょこぴょこ伸びてきたら適当に液肥をやってますが、無肥料でもけっこう花は咲いてます。肥料は8月いっぱいくらいで切ってます。着生植物の特性を活かして、流木やヘゴに付けてもおもしろいです。着生植物全般に言えることですが、やっぱり風と日射しです、大切なのは。
真夏は葉焼けが怖いので一応寒冷紗かぶせてますが、熱の溜まらないところならば斑入り種以外はそんなに気を遣う必要はないかもしれません。

めくるめく原種デンドロの世界 その1

デンドロビウムはポピュラーかつ美しいランで、原種も交配種に劣らない美しいものがたくさんあります。また、咲き乱れた大株の姿は圧巻です。デンドロビウムは姿形、生態の異なる仲間がたくさんあるので、40くらいの節や亜属に分けたりします。ここでは植物園で見かけたデンドロビウム属デンドロビウム節のランを紹介します。

デンドロビウム節はもっともポピュラーなグループのひとつで、現在広く出回るデンドロ交配種の親となっているnobile:ノビルやmoniliforme:モニリフォルメ(セッコク)をはじめ、育てやすく美しい種がたくさんあります。誰が見てもまあ、美しいと思えるようなストライクゾーンの広い花姿の種が多いのも特徴でしょうか。ランの中でもデンドロを育てたい、という方にはまず知って欲しいグループでもあります。いわばデンドロの入門編です、といっても種類も多いですし、それだけではなく奥も深いと感じます。

Den. nobile ノビル

ノビル
ノビル

言わずと知れた、デンドロを代表する原種で、非常にたくさんの変種があります。ここから発した交配種も数知れずです。リップの真ん中に入る大きな黒いブロッチが印象的で、花びらの先端がほんのり紅桃色になります。ノビリスという品種名がついていましたが、よく見るノビルとあまり変わらないように感じます。

Den. nobile var.cooksonianum ノビル クックソニアナム

ノビル クックソニアナム
ノビル クックソニアナム

上記ノビルの数ある変種のひとつです。花びらの付け根に紫色の斑がくっきりとはいるのが特徴です。微妙な違いのように感じますが、実際に見ると、ノビルとは雰囲気ががらりと違ってきます。何となく全体の線が、こちらの方がくっきり見えます。

Den. friedericksianum フレデリックシアナム

フレデリックシアヌム
フレデリックシアヌム

黄色い花が全体を明るく見せてくれます。こちらもデンドロビウム節の中ではポピュラーな原種です。ノビルをそのまま黄色くしたような花姿です。花持ちがよく、1月半近く咲き続けるそうです。

Den. loddigesii ロディゲシー

ロディゲシー ヘゴやコルク付けにすると非常に映えます。
ロディゲシー

小型種で、バルブも非常に細いです。バルブは立ち上がらずに横から下に向かって伸びます。非常に高芽をよく出して増えるので、安価で苗もたくさん出回ります。寒さに強く、うちではマイナス1℃のベランダでも耐えていました。花は咲きやすいという人と咲きにくいという人がいます。冬に断水すると春に花芽を出しやすいともいいますが、定かではありません。バルブの細さの割に、大きな花を咲かせます。ピンクと黄色のコントラストがかわいい花で、リップが細かく切れ込みます。花持ちが悪いのが残念ですが、それ以外はパーフェクト。一応、初心者向き原種で、枯れにくいです。コルクやヘゴ付けにすると映えます。

Den. Berry ベリー

RIMG0572デンドロビウム・ベリーは非常に花付きのよいデンドロビウムの交配種です。1つのバルブから、2~3本の花茎を伸ばして10輪ほどの花を咲かせます。花の大きさは2cmくらいと可愛らしいです。見た感じはkingianum:キンギアナムなのですが、bigibum:ビギバムやcanaliculatum:カナリキュラツムの血も入っています。単純に構成比で言うならキンギアナム50%、ビギバム25%、カナリキュラツム25%といったかんじになります。正確にはビギバム×カナリキュラツムの交配種Mini Pearl:ミニ・パールにキンギアナムを交配したのが本種、ベリーです。良く出回る個体にベリー ’オダ’があります。

RIMG0577ビギバムは俗に言うデンファレ系のひとつです。カナリキュラツムは小型のスパチュラータ系で線の細いとてもきれいな花なのですが、寒さに弱い面などもあって、デンドロの中ではやや難物と勝手に認識しています。で、その交配種であるミニ・パールは見ためほぼデンファレです。その見た目ほぼデンファレにキンギアナムが交配された本種はほぼ見た目キンギアナム。見た目としてはキンギアナムの遺伝子最終勝利と言ったところでしょうか。各系統(キンギアナム系・デンファレ系・スパチュラータ系)の代表的な原種を交配した結果がコレ、というのはおもしろいです。小型化、耐寒性や強健さを狙った交配かもしれません。花色はビギバムの濃い赤紫を反映していると思います。やや小型に見えるのはカナリキュラツムの形質からでしょうか?

寒さには強く、その点はキンギアナムに準じます。また、たくさんバルブを出しますが、比較的コンパクトにまとまるのも特長です 。

Den. Cassiope カシオープ

OLYMPUS DIGITAL CAMERAデンドロビウム・カシオープはmonilifome × nobileの原種同士の交配種です。なんか、自分はプライマリー交配が好きなんだなと改めて思います。monilifomeは要するにセッコク、nobileはノビル系デンドロの親としても有名です。超メジャー同士の交配種、原初のデンドロ交配種と言ったら大げさですが、カシオープはその後に続くデンドロの交配種に大きな影響を与えたのは確かです。花つきのよさは抜群で、ノビルの美しさとセッコクの強健さを併せ持ったまさにハイブリッドです。交配種として登録されたのは1890年、古くからこんなの(交配)やってたんだなあ。花は落葉したバックバルブに咲きます。新芽から数えると、足掛け2年で花芽のつくバルブになります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA栽培は基本的にノビル系と同じです。冬は休眠しているので、かなり乾燥させても大丈夫です。春~秋は戸外の風通しのよいところで、吊るせれば言うことないです。セッコクもノビルも変種や個体が多い原種なので、それらの変種や個体の組み合わせて多分いろいろなカシオープがあるんじゃないかと思います。個体名のついたものはあまり見ませんが。原種に近い素朴な交配種といった感じの花です。