半田山植物園 2013 秋

こんなところ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA岡山の市街地から北に少し離れた、のどかな場所にある植物園です。丘陵地の南向き斜面に作られており、展望台からは岡山市街のパノラマを堪能できる眺めの良さが特長です。全体的な構成としては、手前半分(南側)は芝生や花壇などが整備されており、奥半分(北側)はモミジ、ウメ、サザンカ、ツバキなど樹木が多く植えられています。
今回は、入り口から展望台まで登って温室を経由して、スタート地点に下っていくコースをとります。

園内を登っていく

入り口がちょうど丘陵のふともになるので、園内の散策はまず登りからはじまります。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA正面ゲートをくぐると、開放的なエントランス。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA舗装されたスロープを歩いて、園内をぐるっと一周できます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA園内を走るスロープや木道をつなぐような階段も要所要所に設けられており、縦横無尽にショートカットも可能です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA園全体が斜面といっても、ちゃんとこのように芝生広場もあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA展望台からみる岡山市街。

夏の六義園

はじめに

OLYMPUS DIGITAL CAMERA国の名勝に指定されている大名庭園です。真ん中に池があってぽっかり築山があってという俗に言われる「回遊式築山泉水」の庭園です。全国的にも名の知れた庭園なので、やはり一度は訪れるべきだろうと行ってきました。

こんなところ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA8月末の訪問でしたが、ミンミンゼミがやかましいくらい鳴いていました。関西の公園ってクマゼミやアブラゼミが多いので、そのミンミンサウンドに囲まれただけで、関西とは違う場所だなと感じました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA年月を経たであろう大木が所々にありますが、名前がわからない。メジャーな樹種のハズなのに、専門分野が少しずれるだけで駄目だなあと反省しました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA築山に続く「田鶴橋」、非常に雰囲気があります。通行できないので、見るだけです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA池の見える周辺はばーっと広がっていて開放感があります。きっちり手入れして人の手が入っているのに、自然の山野にいるような気持ちにさせてくれたりします。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA池に沿うように一周すると整然とした庭園を堪能できますし、外周をぐるっと回ると自然の多い山野を歩いているような雰囲気になります。余裕があるなら内周、外周するとその雰囲気の違いが楽しいと思います。
ここには写っていませんが、カラスが多かったです。マツの葉っぱとかを引っこ抜いてました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA外周をぐるっと歩いて40分くらいでしょうか、ちょうどよい感じの広さです。休憩所兼売店もあり、所々に腰を下ろせるベンチもあります。トイレは3~4カ所点在していたと思います。

さいごに

広すぎずに起伏もあまりなく、楽しく散策できる庭園です。紅葉の時期などもかなり雰囲気が合ってよいのではないかと思います。
都営三田線「千石駅」からほぼ直進で10分くらいです。地図を見ると「駒込駅」のほうが若干距離が近いようです。関係ないですが、庭園の近くには日本医師会やフレーベル館がありました。

くらしの植物苑 「伝統の朝顔」展

こんなところ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA佐倉にある植物の施設で、国立歴史民俗博物館(歴博)の別館のような施設です。小高い丘のようになっている歴博の敷地の端のほうにあります。朝顔展が行われていたので、それを見にやってきました。植物「園」じゃなく、植物「苑」です。「食べる」「直す」「染める」などいろんな場面で、人々の生活を支えてきた植物が植栽されており、民俗学的な色彩が強いです。それはそれで違った視点から植物を見ることができてよいと思います。こぢんまりとして落ち着いたところです。入苑料100円、がっつり植物を堪能するというより、しみじみと味わうと言った雰囲気がぴったりです。
京成佐倉からぶらぶら歩いて丘をひとつ越える感覚で歴博を横目に通り過ぎ、およそ20分で到着。要所要所に案内板があって、迷うことはありませんでした。帰りはJR佐倉まで歩いたのですが、少し距離がある感じです。距離的にも、道程の雰囲気的にも京成佐倉から行くのがおすすめです。

「伝統の朝顔」展

OLYMPUS DIGITAL CAMERAこれが見てみたくてこの植物苑にやってきました。毎年催されている企画のひとつのようです。パンフレットやパネル展示で変化朝顔などがわかりやすく説明されていたり、非常に多くの変化朝顔が展示されていました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA整然と並ぶ数々の変化朝顔。出物と正木の系統に分けて、別々のハウスに展示されていました。あまり見られないモノが多くあり、「アサガオってこんなにキレイだったのか」と今更ながら感心しました。期間が7月の末から9月の頭と非常に長いのに、展示されている株は元気に育っているものばかりで、スタッフの方の多大なる努力と苦労が忍ばれます。大変なんだろうなあ。

美しい変化朝顔

変化アサガオの品種名は、葉っぱや花の特徴的な形状を表す単語を決まった文法(順番)で羅列して表記するのですが、やたら長いです。一鉢一鉢丁寧に品種名の書かれたカードが付けられていました。

「青打込弱渦柳葉青采咲牡丹(あおうちこみじゃっかやなぎば・あおさいざきぼたん)」
青打込弱渦柳葉青采咲牡丹(あおうちこみじゃっかやなぎば・あおさいざきぼたん)

糸のように細い繊細な花。朝顔とは思えないような花姿です。

青打込弱渦葉青丸咲牡丹(あおうちこみじゃっかば・あおまるざきぼたん)
青打込弱渦葉青丸咲牡丹(あおうちこみじゃっかば・あおまるざきぼたん)

花弁たっぷりでボリュームのある花。花だけでなく、葉っぱも非常にバラエティーに富んでおり興味深いです。

さいごに

OLYMPUS DIGITAL CAMERAヨルガオやソライロアサガオなどその他のヒルガオ属の植物もおっきな鉢でダイナミックあんどん仕立て?にされており、印象に残りました。こういう所もおさえてる、と言うのがいい感じです。つるに刺のような突起が生えているハリアサガオがおもしろかったです。
なにげに博物館発行のアサガオに関する書籍とか、グッズとかも販売されていました。おもしろそうだったので数冊購入しました。非常によくまとめられた、おもしろくてわかりやすい企画展でした。他の季節にも企画展をされているみたいなので、機会があればまた言ってみたいと思いました。

電動ドリルで着生ライフ

なくても良いけど、存外に園芸でも便利な道具。今回は電動ドリルを紹介します。もちろん、穴を開ける道具ですが、具体的にどういう際に使うかというと
・ヘゴ棒を板状につなぐ
・ヘゴやバークチップを吊す
・植物を固定するワイヤーを通す
・名札を植物に直接付ける
・プラ鉢の通気性をよくする

などに使います。具体的にはランやチランジアなどを吊るす際など、着生植物をそれっぽく栽培したいときに活躍します(実際の使用例は記事の末尾に記載しました)。

ドリルの選択

OLYMPUS DIGITAL CAMERA用途が大したことないだけに、大げさなドリルはいりません。そこで行き着いたのが、プラモ改造などに使うタミヤのハンディドリルです。これは手に収まる程度の大きさで単三電池2本(別売り)で動きます。完成品ではなく組み立てキットで、プラモデルみたいに自分で組み立てます。モーターや電極をボディーにはめ込んででギアを組み入れて、グリスを塗ってビスで締めて…30分位で完成です。購入した価格は1000円ちょいでした。径1mm~3mmのドリル刃に対応しています。おもちゃみたいな見た目ですが、ヘゴ板やバークチップ程度なら、空回りせずしっかりと穴を開けられます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAドリル刃は1本しか付いていないので、もう少し大きな穴や小さな穴を開けたい場合は、同じタミヤのドリル刃セット(別売り)などが必要です。

ハンディドリルの注意点

《よい点》
・基本性能(穴開け能力)がしっかりしてる
・リーズナブルでお手軽
・電池なのでコードレス(コンセントの離れた場所でも使える)
《注意点》
・組み立て式である→組み立て失敗したら動かないかも
・逆回転ができない→貫通後にドリル刃が抜きにくいかも
また、厚みのある素材はドリル刃の長さが足りないことがあるかもしれませんし、硬い素材に対してはおそらくパワー不足です。
色々な利用を想定されているなら、通常の電動ドリルがよいでしょう。

実際の使用例

短く切ったヘゴ棒を板状にする際、鉄線を通して固定させるための穴を開けました。
短く切ったヘゴ棒を板状にする際、鉄線を通して固定させるための穴を開けました。

 

バークチップを吊すため
バークチップを吊すため

 

名札を植物に付けるため
名札を植物に付けるため

 

プラ鉢の側面に通気性をよくする穴を開ける(縦長のスリットは最初から開いていたもの)
プラ鉢の側面に通気性をよくする穴を開ける(縦長のスリットは最初から開いていたもの)

夏のファレノプシス・ベリーナ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
ファレノプシス、要するにコチョウランの仲間というと、ゴージャスな花を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実にいろいろな系統があります。その中でも夏から秋咲きのファレノプシス・ベリーナ〔Phal. bellina〕はとっつきやすくて花つきのよい、お勧めのファレノプシス原種です。

とっつきやすいと思うポイント

・ある程度強い日射しでも葉焼けしにくい
・気温が高くて元気な時期につぼみを付けるので、低温や生育不良でつぼみが枯れることが少ない
・比較的低温にも耐える(経験では5℃~7℃程度)
・花の香りがよい(個体差や季節でちがいがあるかも)

こんなところが通常のコチョウランと違う

生育サイクルなどが通常のコチョウランと少し異なるので、その「違い」を見ていきましょう。
その1 花の咲く時期が違う
通常
冬の休眠期に花茎を伸ばして春に咲くものが多いです。
ベリーナ
春に気温が高くなってくると花茎を出して、夏のはじめから秋の終わりくらいまで開花します。

その2 花の咲き方が違う

つぼみを付けながら花茎をさらに伸ばしていきます。
つぼみを付けながら花茎をさらに伸ばしていきます。つぼみの右側に見えるのが花茎の芽先です。

通常
ややタイムラグがあるものの、同時期にたくさんの花が咲きます。花茎の先端のつぼみが咲ききれば、切り戻したりしない限り、それでその花茎の開花は終わりです。
ベリーナ
まず、花茎が少し伸びて1つのつぼみがつきます。そのつぼみがある程度大きくなると、更に花茎を少し伸ばして新たなつぼみをつけます。それの繰り返しで、つぼみをつけながらどんどん花茎を伸ばしていきます。一度に見られる花数は1輪~2輪程度です。枯れたら次のつぼみが咲く、と言った感覚に近いです。一株から複数の花茎を出すこともよくあります。1本の花茎で数年間花を咲かせ続けることもあります。また、秋に少しだけ出た花芽が咲かずに冬になって生長が止まり、春になって伸び始めることもあります。

その3 葉や根っこが違う
通常のコチョウランに比べて、葉の厚みが薄くて、光沢があります。根の太さはやや細めです。その反面、花びらにやや厚みがあります。水を貯蔵したり乾燥に耐える必要のあまりない、案外湿潤な環境に自生しているのかもしれません。

共通するところ

全体。葉の出方などは通常のコチョウランと変わらないです。
全体。葉の出方などは通常のコチョウランと変わらないです。

1枚の葉っぱが生長したら、次の葉を出すと言う成長の仕方は共通しています。全体的な株姿も同じようなものです。栽培も通常のコチョウランに準じるところはありますが、ベリーナのほうが性質は強めで育てやすいと思います。

栽培雑感

置き場所
うっかり葉焼けをさせたことがないので、日射しには比較的強いようです。冬以外は基本屋外の半日陰ですが、通常のファレノプシスよりも明るい場所 -真夏でも午前中少し日の入るところ- でよく育っています。その方が花付きがよいような気がします。風通しのよい場所に吊しておくと機嫌がいいです。冬は室内に置いてますが、5℃~7℃程度の室内でも特に枯れていません(生長は止まります)。
日常の管理など
用土はバークチップを使い、素焼き鉢に植えています。水やりは夏は毎日、春と秋は乾いていたらたっぷり、冬は2週間に1回くらいです。肥料は梅雨頃から2週間に1回くらい薄めの液肥を与えてます(秋まで)。あまりたくさん要りませんが、少し与えると元気のような気がします。
花芽や葉の一部がなにものかに食害されたことがあるので、春先にスプレー式の薬剤を1度だけ散布しています。ナメクジではないと思う。
注意点
花茎が緑で生きているうちは切らないようにします。寒くなると生長が止まりますが、季節が変わって暖かくなると伸びて花を付けることが多いからです。

その他

見た目がすごくそっくりな仲間に、ファレノプシス・ビオラケアがあります。ベリーナとビオラケアは今ひとつ違いがわかりません。これらの原種って個体差とか地域差が多そうなので、さらに混乱します。
香りがよいと書きましたが、同じ花でもほとんど香らないときもあれば、すごく香りが漂うときもあり、夜とか朝とか時間帯で差があるのかもしれません。

季節はずれのデンドロ

ノビル系交配種は早春から春にかけて花が咲くのが一般的ですが、まれに季節はずれの梅雨時に少しだけ花を咲かせることがあります。

季節はずれに咲いたデンドロ

ヒメザクラ 'フジッコ'
ヒメザクラ ’フジッコ’

6月~7月ころの季節はずれ開花は大体花芽ひとつくらいで、開花すると2~3輪程度と株全体で見るとおまけみたいな開花ですが、特に変わらずきれいです。また、花芽がついてから開花するまでが1ヶ月~1ヵ月半と非常に早いのが特徴です。気温が高くて潤っていてデンドロにとってはよい季節なのでしょう。通常は10月~11月に花芽が出てきて、少しずつ大きくなって開花するのは2月~4月頃です。

なぜ季節外れに咲くんだろう

イエローソング 'キャンディー'
イエローソング ’キャンディー’

なぜ季節外れに少しだけ咲くんでしょうか。ちょっと考えてみました。
1本のバルブでも、上と下では成熟スピードが違います(見た目は変わらないです)。真ん中のあたりが一番早く成熟して、花芽もこのあたりが一番つきやすいです。それに比べて上や下は成熟スピードが遅れるので、上とか下が成熟しないまま冬を迎えてしまって、真ん中だけ花芽ができて春に開花、暖かくなって再び生長を始めて花芽のつかなかった箇所が成熟し、花芽を作るのではないかと思います。また、バルブが成熟してから一定の低温に当たらないといけない、といいますが、現在の交配種はいろいろな種が複雑に交配されていて、品種によっては低温が必須条件となっていないのかもしれません。生育期と休眠期もややあいまいですし(開花と新芽伸長が同時にすすんだりとか)。季節はずれ開花は、自分のところではバルブの先端のことが多いです。
寒さが来るまでにしっかりと作り込めたら、こんなことにならないのかなあ、とも思います。むずかしいです…。

梅雨に咲いてますランの花

梅雨のじめじめ時期でも、何かしらランは咲いてます。そんな夏に向けての地味めなランを2つほど紹介します。

オサラン Eria reptans

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本にも自生する小型の野生ランで、洋ラン的に属名でいうとエリアの仲間です。梅雨時期になるとバルブの先端から花茎を伸ばしてちっちゃな白い花が1~2輪くらいつきます。花の寿命はランの中では短い方で、開いて2~3日くらいでシミみたいなのがちょこっと浮き出てきてしおれていきます。一番キレイなのは開花直後くらいです。バルブが行儀よく直列に連なって増えていきます。冬は落葉します。

手のひらサイズ
手のひらサイズ

寒さに強くて、凍結に気をつければ屋外で越冬できます。とりあえず、半日陰でたっぷり水やりすれば機嫌良く育ちます。ヘゴづけにしても楽しそうです。

ポリスタキア プベスケンス Polystachya pubescens

OLYMPUS DIGITAL CAMERAアフリカの小型着生ランです。開花時草丈15cmくらい。開花期は梅雨時期から夏くらいです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAバルブの生長がよければ、1本の花茎から十数輪の花を下から順番に咲かせます。花色は黄色で赤褐色の横筋が入るのが特長です。花の大きさは1.5cmくらいです。バルブがなければ何となくキンランとか日本の野生ランを彷彿とさせるような花です。花の寿命は10日くらいですが、一気に咲かずに順番に咲くので1ヶ月以上は楽しめると思います。

めくるめく原種デンドロの世界 その4

ランは花の美しさやおもしろさもさることながら、その草姿も十分楽しいのではないかと思います。というわけで、個人的に好きな草姿のデンドロビウムを紹介したいと思います。今回は「デンドロ界のぺたんこ」こと、デンドロビウム・プラティガストリウムです。

Den. platygastrium デンドロビウム・プラティガストリウム

一見普通のバルブのように見えるが…
一見普通のバルブのように見えるが…

さっそくですが、その草姿を見ていきましょう。プラティガストリウムの草姿は見た目、よくあるノビル系デンドロビウムに似ています。しかしこれを90度、角度を変えてみると…

厚みがない
厚みがない

画像では少しわかりにくいのですが、厚みがなくて薄っぺたいのです。普通に棒状に生育すればよいものの、なぜプレスされてのされたような姿なったのでしょうか?すごい狭いスキマとかでも対応できるから?おそらく違います。自生地では木の幹を背もたれにして、逆さまに張り付いたりしてるのかも。
どちらにしてもこのぺっちゃんこ具合が最大の魅力と感じます。バルブのツヤツヤした感じもたまりません。

葉面が横を向く
葉面が横を向く

葉っぱの出方も微妙におもしろいです。お日様の光を効率的に受けられるようにか、葉面が斜め横から横に向きます。大株だと、このバルブは50cm近くの長さになるそうです。

追記

花は主に春に咲きます。クリーム色のちっさな花が一本の花茎に数輪まとまって咲きます。見た目はセッコクに近いです。育ててる感覚で、ノビル系とかとあんまり性質変わらないんじゃないかなあ、と思います。水やりとか日射しとか。耐寒性もさほど弱くなさそうですし。
見た目すごくそっくりなものに、デンドロビウム・ラメラツム(Den. lamellatum  Synonym:Den. platycaulon)があります。こちらもバルブぺちゃんこです。

めくるめく原種デンドロの世界 その3

デンドロビウムは種によって草姿はまちまちです。今回はそんな中でも多肉植物のような葉っぱがかわいらしいデンドロビウム、リケナストラムの仲間を紹介します。
デンドロビウム属リケナストラム節はオーストラリア北東部の熱帯地域にリケナストラム(Den.lichenastrum)、プレンティセイ(Den.prentisei)、トレッサエ(Den. toressae)の3種が分布します。ここではデンドロビウム属として解説していますが、分類がややこしく、バルボフィラム(Bulbophyllum)属やドックリリア(Dockrillia)属に分類される(もしくは、分類されていた)こともあります。

リケナストラム節はこんなデンドロビウム

肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです
肉厚の葉っぱが魅力のデンドロです

このグループに共通することはバルブがなくて這うように伸びる茎に肉厚の葉っぱを付けることです。葉っぱの形に違いがありますが、おおむね小型でかわいらしいです。葉っぱはツヤツヤぷっくりしてたり、表面が梨地のように細かくざらざらになっていたりと葉の姿形の妙を楽しむことができます。そういう言葉はないのですが、熱帯雨林性多肉デンドロと勝手にカテゴライズしています。
葉っぱの付け根からすごくちっさいけども味のある花を咲かせます。大きさはおおむね幅4mm~9mm、色は幅がありますが、白や黄色っぽくてリップがオレンジや黄色になります。紫や赤っぽい筋が入るものもあります。

リケナストラムとプレンセティラ -種の紹介 その1-

Den. lichenastrum var. prenticei
多分 Den. lichenastrum var. prenticei

リケナストラムとプレンティセイは標高200m~1200mの熱帯雨林の中、直射日光の射し込まない日陰の岩上や木の枝に自生します。この2種は葉っぱの形以外ほぼ同じで、同種とすることもあります。また、プレンティセイはリケナストラムの変種(Den. lichenastrum var. prenticei)とする見方もあります。ちなみに、葉の形がリケナストラムは平たい豆粒のようで、プレンティセイはやや細長いです。自生環境も同じで、基本的な性質も変わらず、栽培にも違いはないと見てよいでしょう。このあたりの明確な分類は曖昧模糊としてむずかしいように感じます。リケナストラムには他にもトゥエンティシー(var. twenticii)やオーレア(var. aurea)などの変種が知られます。

トレッサエ -種の紹介 その2-

トレッサエはこのグループ中で最小の種です。標高1000m付近の熱帯雨林や疎林に自生します。上記の種と性質は基本的に変わらないようですが、疎林にまで広がるということは、やや日射しを好むのかもしれません。笹かまぼこをちっちゃくしたような輪郭の葉を付けます。葉っぱ同士が重ならないように、左右交互に出していく様もかわいらしいです。花茎が伸びないので、開花時は株に直接花がくっついているように見えます。

栽培メモ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA丈は大きくならずに這うように広がるのでヘゴやコルク付けにしても面白いのではないかと思います。鉢を使うなら、平たい鉢のほうがよさげです。深い鉢しかなかったら、下に詰め物するとか。栽培しやすいともいわれますが、自分はまだ育ててからが浅いので何とも判断できません。ヒントは・着生・日陰から半日陰、多雨で湿潤な環境に育つなどではないかと感じます。

※種の解説と分類については DENDROBIUM AND ITS RELATIVES を参照にしました。

京都植物園 夏の洋ラン展 2013

京都植物園、夏の洋ラン展に行ってきました。春の洋ラン展とはまた少し毛色の違った個性的なランが楽しめます。

中の様子

OLYMPUS DIGITAL CAMERAパフィオペディラムがずらっと。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAカトレア類も多いです。やはり夏の定番!大輪が美しい原種カトレアのパープラタは夏のラン展の華です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA大きくて迫力のあるデンドロのスパチュラータ系、加えてデンドロやファレノプシスの原種、堂々とした大きさのセロジネ・パンデュラータ、大株のバルボフィラム・ロビーなんかも素敵でした。

このデンドロに注目

個人的に好きだなと思ったものをいくつか。
OLYMPUS DIGITAL CAMERADen.victoria-reginae -デンドロビウム ビクトリア・レギナエ-
憧れのブルー花デンドロ原種です。この色は画像では表現できないので、一度見るべしです。バルブの一カ所にまとまって咲く傾向があります。
OLYMPUS DIGITAL CAMERADen. Gatton Sunray -デンドロビウム ガットン・サンレイ-
すっごく古い交配種。サンダースリスト(ラン交配種の戸籍みたいなもの)で確認したら登録は1919年となっていました。原種っぽさが素敵です。交配種でガットンって名前の一部に入ってたら、イギリスのコールマンさんの登録品種ってことが多い。あと、古い…もとい歴史ある交配種。
OLYMPUS DIGITAL CAMERADen. lasianthera -デンドロビウム ラシアンセラ-
花のねじれ方がいかにもスパチュラータ系といった雰囲気です。大型種で、しかも棚の上に置いているので花を見るときは見上げるような感じになります。デンドロの大型原種に刮目せよ、という感じです。

このランも素敵

OLYMPUS DIGITAL CAMERAChiloschista lunifera -キロスキスタ ルニフェラ-
葉っぱなんて飾りですよと言ったかどうかわかりませんが、要するに無葉ランの一種です。少しドリティスとかファレノプシスを彷彿とさせる花です。どこまで生命に必要な器官を省略できるかに挑戦しているようで自分は好きです。命をかけてシンプルイズベスト。
OLYMPUS DIGITAL CAMERASchoenorchis fragrans -ショエノルキス フラグランス-
すごくちっちゃくてかわいいランですが花はいっちょまえ。この株で大きさは幅3~4cmくらいだったと思います。ちっちゃかわいいというのもひとつの正義なのでしょう。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAThunia brymeriana -ツニア ブリメリアナ-
これも夏のランと言ったイメージが強いです。ランと言うより背丈の高い草みたいにも見えます。あんまりバラエティーがないからか、メジャーではないかも知れません。でも育てやすさや美しさなどを含めていいランです。ツニアはツンさんというランの愛好家の名前に由来します。デレはないのでしょうか。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA忘れちゃいけないC.パープラタ。この大きさと花数、そして色彩。夏のカトレアの王様だなあ、と感じます。もちろん栽培されている方がすごいのです。あと、個体変異がすごく多くて好きになると大変なことになるかもしれません。

その他

マキシラリア・テヌイフォリアもこの時期によく出てくるランですが、むちゃくちゃ花つきがよかったです。自分のとは…違う。ココナッツミルクのような香りのするくんかくんかするランです。
少しですが即売も行われていました。規模は小さいですがツボをはおさえているような品揃えで、個人的には好きです(デンドロ原種)とかいくつかあったから…。ランは春だけじゃないということで、お近くなら是非。