セロジネとその魅力

最初に

原種トメントサ
原種マッサンゲアナ(トメントサ)

このページは「セロジネ」と言う洋ランの魅力とつきあい方を2ページにかけて紹介しています。
以下の順番で説明します。ランの花と言えば、カトレアやコチョウランのようにあでやかで派手に咲かせると言ったイメージもありますが、セロジネは楚々として粛々と咲くと言った感じです。嫌みがなく、シンプルなだけに飽きのこないところが魅力です。クリスタータやムーレアナは原種かと思えるほど洗練されており、マッサンゲアナ(トメントサ)の長く下垂する花茎は雄大さを感じさせます。ただ、原種は入手しづらい、花付きにムラがあったり、やや暑さに弱いものがあるなど、とっつきやすいとは言いづらいです(もちろん、フラクシダのようにとっつきやすい原種もあります)。そこで、おすすめしたいのが交配種のセロジネです。
セロジネの原種は100種程度が知られていますが、交配種の数はさほど多くないです。これは、原種そのまんまの花が美しくて見栄えがするので、改良の必然性があまりなかったからではないかと思います。ただ、交配種は原種の雰囲気を残しつつ、丈夫でとっつきやすいものが多いので、おすすめです。花に香りのある種が多いですが、満開時期はちょっと花につくほどきつい芳香になるものもあります。

つきあいやすい品種

コスモクリスタ(左)とインターメディア(右)
コスモクリスタ(左)とインターメディア(右)

往往にしてとっつきやすいものが多いとも言われますが、中には生育サイクルの把握しにくいものや、花芽を中々出してくれないものもあります。
最もつきあいやすいのは「インターメディア」と「コスモ・クリスタ(旧名シンジュクNo.8)」です。インターメディアは寒さに強くて花付きもよいセロジネの代表品種で、冬から春に花付きの鉢植えである程度で回ります。また、花の大きな個体「インターメディア’マグニフィカム’」も、ラン展でときおり見かけます。同じ系統の「コスモ・クリスタ」も非常に花付きがよくて生育も旺盛ですが、インターメディアほども出回らないのではないかと思います。いずれも交配種なのですが、インターメディアを更に改良(交配)した品種がコスモ・クリスタなので、性質も見た目もそっくりです。下の図は、2品種の系譜になります。コスモ・クリスタに関しましてはこちらのページに詳しくまとめておりますので、参考にしてください。

コスモ・クリスタとインターメディアと交配系譜
コスモ・クリスタとインターメディアの交配系譜

この2品種に関して言えば、5℃程度あれば冬越しできます。新芽の出る時期も5月~6月頃と一定しているので、栽培しやすいです。新芽の出る時期が不定期なものや1年に2回出るものは、生育サイクルが把握しづらいです。まとめますとこの2品種は

・暑さと寒さに強い
・花付きが非常によい
・生育サイクルが把握しやすい

などの特長が挙げられます。以降の内容は、インターメディアとコスモクリスタの性質を前提として説明させていただきます。
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※補足「新芽の出てくる時期が一定」について

「新芽が出てくる→活発な生育期に入った」ということになります。それを合図として肥料をはじめたり、必要なものは植え替えをしたりします。ですから、新芽の出てくる時期が一定だと、いつ頃までにバルブが肥大して、花芽を付けるかという生育サイクルが把握しやすいのです。[/note]

具体的な生育サイクル

フラクシダ'ラッキーボーイ'とっつきやすい原種のひとつ
フラクシダ’ラッキーボーイ’とっつきやすい原種のひとつ

たいがい2月~4月に花が咲き、花が枯れて少し経ってから新芽を出します。新芽の出る時期はだいたい5月から6月頃です。新芽は夏にかけてぐんぐんと生長します。暑さが過ぎて気温が徐々に下がってくる9月中頃から一気にバルブが肥りはじめ、11月頃までに肥大が終わります。その後肥大したバルブの付け根あたりから花芽を伸ばして、2月~4月頃に花を咲かせます。毎年これの繰り返しです。
年々株が大きくなってくると、出てくる新芽の数が増えて、結果として花芽の数も増えます。上手に育てると、年を追うごとに花数が増えるので、育て甲斐があります。
生育サイクルの異なるタイプ(新芽から花芽を出すものなど)も多くありますが、ここでの説明は省きます。

栽培メモ

011■水が好き
株が大きく生長すると、バルブもしっかりと大きく育ち、たいがい花を咲かせてくれます。とにかく水が好きなランで、油断して乾かしてしまうと葉先が枯れたり、変によじれた葉っぱが出てきたりします。新芽が出てきてから秋にバルブの肥大が完了するまでは十分水を与えます。乾きにくいという点では、プラ鉢に水ゴケが管理しやすいですが過湿になって根腐れを起こすことがあるので注意です。プラ鉢を用いる場合は、株の大きさに対して少し小さめの鉢を使った方が失敗は少ないです。冬も乾いてきたらちゃんと水をやります。デンドロビウムみたいに乾かしてはいけません。

■風通しのよい日陰が好き
次に大切なのは置き場所です。基本的に薄暗い場所でよく育ちます。直射日光は葉っぱが黄ばんだり、最悪の場合焼けて枯れてしまうのでよくないです。風通しのよい日陰が適しており、吊して育てることができればなおよいです。当方では、屋外の雨ざらしの場所でよく育っています。秋に10℃を切るくらいの頃に屋内に取り込みます。一定の低温に当てないと花芽が伸びにくいと言いますが、インターメディアに関してはあまり関係ないように感じます。

■肥料は少し必要
肥料は少しあったほうがいいです。新芽が伸びてきたら液肥をときどき与えます。暑さでバテると根が肥料を受け付けないので、真夏は一旦やめた方がいいです。秋に涼しくなってきたら、バルブが完全に肥大するまで、リンカリの液肥をときどき与えます。
風通しのよい日陰で水を十分与えて、秋までに大きなバルブに育てることがポイントです。
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※補足 セロジネを扱った書籍

洋ランの育て方を扱った実用書にはセロジネを取り上げているものも存外にありますが、紙面の都合上あまり詳しくは書かれていません。そんな中でも、一冊丸ごとセロジネを扱っている書籍が1冊だけあります。「NHK趣味の園芸・よくわかる栽培12か月シリーズ セロジネ」 がそれで、基本は月ごとの管理が記載されており、それ以外の基本情報も記載されています。[/note]

入手方法

冬から春にかけて各地で行われるラン展では、たいがい花付きのセロジネが出回ります。また、この時期なら初夏から新芽が伸び始めて秋にはバルブも完成し、翌年の開花も期待できます。

園芸読本 ’ユリノキという木’

こんな本

OLYMPUS DIGITAL CAMERA読んでおもしろかった植物関係の本を紹介する「園芸読本」。今回は「ユリノキという木 魅せられた木の博物誌」です。手持ち本の巻末を見ると1989年12月15日初版となっていますので、四半世紀ちかく昔の本です。しかし、今でも新品で買えるということは、それだけロングセラーで版を重ねている…んだと思います(店頭で確認した訳ではなく、あくまでAmazonでということですが)。一つの植物にスポットをあてた本ではすごいことなんでは、と。

こんな内容

OLYMPUS DIGITAL CAMERA一冊まるまるユリノキについて書かれています。ユリノキはごく当たり前に植栽されていて、好きな人はすごく好きだけども、知らないひとも多い、そんな樹木だと思います。葉っぱの形、独特な存在感をもつ花、まっすぐ伸びる幹、大木の堂々とした雰囲気など、改めてみると魅力的な木です。そんなユリノキの概要、生態、現地での状況、利用に関して、日本に導入されたいきさつや歴史、育てたいひとのための…と言った多方面に渡る解説がなされています。学術的な内容ではなく、読み物でむずかしくないです。。文章だけでなく、所々にカラー写真ページも挟んでいるので、どんな木なのかというイメージは把握しやすいです。巻末には全国で見られるユリノキスポットが一覧で掲載されています。版を重ねてこのあたりのデータは更新されてるのかわかりませんが、参考になるとは思います。

さいごに

ユリノキを知らないひともこの本を読むと実物を見てみたくなると思います。そして存外に身近な樹木だということがわかるかもしれません。そんなユリノキの魅力が詰まった一冊です。
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