アングレカム レオニスを育てる

Anguraecum leonis

どんな植物か

アングレカム レオニス(Anguraecum leonis)という着生ランがあります。
なぜかここ数年、ホームセンターでも花つきの株をよく見ます。どこで見ても同じデザインのラベルがついています。写真入りの大きめなラベルで、趣味人向きというより一般向きに販売している、という雰囲気でした。ですから、アングレカムの中では一番普及しているんじゃないかと思います。アングレカムは超小型から超大型まで、大きさは種によってさまざまですが、レオニスは横にも上にも大げさに伸びない、小型の部類に入ると思います。

Angcm. leonis 2S字に曲がった距。花が開くころにはもっと長くなります。

春~初夏に咲く花は幅3cm~5cmくらいで、透明感のある白です。花びらは肉厚で、表面はちょっときらきらとラメが入ったような質感になります。夜から明け方にかけてほのかに香ります。一本の花茎に数輪咲き、株が大きくなると一度に数本の花茎を出すようになります。花の後ろ側に長く伸びる距は面白い形です。
葉っぱは肉厚で、左右交互に出ながら上に伸びていきます。よく見られる単茎性のランと同様に、茎は伸びません。暑い環境はかなり好きみたいで、真夏はぐんぐん生長します。といっても生長スピードはさほど速くなく、1年に新しく出てくる葉っぱの枚数は1.5~2枚くらいです。冬は10℃程度あれば越します。

栽培メモ

当方の環境下での栽培メモです。参考程度にご覧いただけると幸いです。
Angcm. leonis 3この株で鉢は直径7.5cm。株の大きさに対して鉢が小さく見えますが、通気性や湿り具合を考えると、これくらいで丁度よいバランスです。

肥料はあまり与えなくても育ちます。夏前にマグァンプなどを少量置肥するか、気づいたときに薄めの液肥を与えるくらいで問題なく育っています。気温が高くなって新しい根をばんばん出してきたらたっぷりと水を与えます。元気な時期は水を吸うと葉っぱに張りが出ます。気温の低い冬~春先は休眠状態であまり水も吸わないので、1ヶ月に1回少し湿る程度で十分です。この時期は葉っぱ全体にしわがよることが多いですが正常です。

最低気温10℃以上を目安に、屋外やベランダの明るい日陰におきます。風通しのよい場所に吊るしておくのがベストです。冬は最低気温が10℃を切るころ、室内の明るい場所に置きます。強い陽射しに当てると葉が傷みます。特に夏から秋の直射日光には注意です。日の当て方は環境によって異なってくると思いますが、自分の栽培しているところでは春と秋は30%、夏~初秋は50%くらいの遮光が丁度くらいだと感じました。もうちょっと遮光しても、大丈夫な気がします。アングレカムは比較的寒さが苦手だと思っていましたが、レオニスに関しては案外寒さに強いようです。

通気性がよくて、湿り具合がわかりやすく、多少水が多くても傷むことが少ないので素焼き鉢にミズゴケで植えています。ミズゴケは株がぐらつかない程度、ゆるめにつめています。植え替えはあまりしなくてよいと思います。購入当初プラ鉢に植えられていたので、それを素焼き鉢に植え替えて丸2年くらいそのままですが、元気です。特に鉢が根詰まりしている感じでもありません。

セロジネの原種いろいろ

セロジネの原種はラン展や即売会などでも比較的リーズナブルな値段で並んでおります。丈夫でよく増えるものもある反面、ちょっと高温多湿や低温に弱い種もあります。ここでは、比較的とっつきやすくてかわいらしい、セロジネの原種をいくつか紹介します。
Coelogyne flaccida \'Lucky Boy\'セロジネ フラクシダ ’ラッキーボーイ’ Coel. flaccida ‘Lucky Boy’
2月の中旬頃に開花。花茎は湾曲して下向きに垂れ下がります。花の大きさは4cm~5cmくらいで色は白ですが、うっすらと赤茶色がかっているように見えます。一本の花茎から7~10輪程度の咲きます。リップには黄色いブロッチとともに、赤茶色の筋が入ります。芳香が強めです。画像は’ラッキー・ボーイ’と呼ばれる個体です。
Coelgyne lacteaセロジネ ラクテア Coel. lactea
3月の下旬頃に開花。花の大きさや姿は上記のフラクシダに似ていますが、こちらは花茎が直立します。また、花の白さはこちらの方が鮮やかです。気温の少し上がった時期に咲いたからか、花命が2週間程度と若干短く感じました。
Coelogyne ochraceaセロジネ オクラセア Coel. ochracea
4月中旬に開花。強健かつ花付きのよい原種です。花茎は直立からやや斜上して、数輪の白い花を咲かせます。リップに入る黄色いブロッチは濃いオレンジの縁取りが入ってかわいらしいです。バルブは縦長の細いタマゴ型でつやつや、密生して生えます。芳香はありますが余りきつくないです。

どれも同じような花に見えますが、ちゃんと見るとそれぞれに個性があります。基本は初夏~秋にしっかり遮光(春秋は50%、真夏は70%くらい)して、たっぷり水を与え、風通しをよくすること、以上3点です。冬は5℃~7℃程度あればとりあえず大丈夫のようです。性質はどれも同じような感じですが、特にバルブの伸び方や花芽の多さなどを考えると、オクラセアが強健さでは半歩出ている気がします。

セロジネとシンジュクの関係

Coelogyne Memoria↑新宿御苑と縁が深いとされる、メモリア・サダコ(手前)とメモリア・オカミ(奥)。サダコにはシンジュクNo.6、オカミにはシンジュクNo.8(もしくはNo.7)のナンバリングがあります。
セロジネには「シンジュクNo.○○」とナンバリングされている交配種がいくつかあります。品種名のあととかに括弧付きで記載されたりしているので、正式な名称ではないのでしょう(これとは別に、正式な名前がCoel. Shinjukuという品種もあります)。なぜこんな名前がついているのか、疑問に思っていたのでこれについて少し考察してみたいと思います。少ない資料での考察で、憶測もふんだんに入っているので戯言と思って頂ければ幸いです。

日本におけるセロジネの交配と経緯

経緯として日本では新宿御苑で昭和のはじめころ、セロジネの交配種がいくつも作出されているので、それに当てられた名前だと思われます。新宿御苑はセロジネに限らず、日本での洋ラン育種・栽培の黎明期を大きく支えた存在です。御苑に奉職されていた岡見義男さんは10数のセロジネ交配種を作出されており、氏により作出された品種群かもしれません。岡見さんの著書に書かれていたセロジネに関する内容で少しおもしろい箇所があったので、抜粋します。
[note]筆者も10余種作出したが、実生は発芽しやすいものであるから、鮮明な改良種でも作出されたらおもしろいと思う。
「ラン 種類と培養」 より抜粋[/note]ここからも、セロジネに関心を持っておられたことがうかがい知れます。

時を経ての登録

当時ちゃんと登録手続きをしなかった(できなかった)のか、正式に登録されたのは21世紀に入ってからという新宿御苑系の交配種がいくつか見られます。メモリア・フクバ、メモリア・オカミ、メモリア・サダコ、メモリア・トキコなどがそれにあたります。作出されたのは昭和の初めのようで著書には

[note]・Coelogyne Memoria Sasako 1928年開花 NO.6
・Coelogyne Memoria Tokiko 1925年開花 NO.4
※いずれも写真に添えられた説明[/note]などの記載が見られます。文末のナンバーは試作段階のもので、これが通称としてシンジュクの名前を添えて「シンジュク No.6」のように使われるようになったのかもしれません。
さて、これらの交配種を登録情報を調べてみると、オリジネーター(交配者…交配を行った人や組織)はShinjikuとなっており、新宿御苑を指すのではないかと思われます。登録者はSuwada Orch.となっているので、須和田農園の、故・江尻光一さんでしょうか。江尻さんは現在見られる一般的な家庭園芸の礎を築いた一人で、NHK趣味の園芸ではおなじみでした。とりわけ、ランの育種や普及では有名で、セロジネを現在に広く紹介した方でもあります。セロジネに関してわかりやすく書かれた一般園芸書も手がけておられます。

[rakuten]001:9784140401972[/rakuten]
登録されていなかった交配種を、新宿御苑の名前をしっかり記して正式に登録されたのではないでしょうか。あくまで憶測ですが。

さいごに

ファレノプシスやカトレア類、パフィオペディラムなどに比べると変異の少ないセロジネは、品種改良の対象にならなかったと思います。それを証拠に、現在登録されている交配種もかなり少ないです。そんなランの交配を手がけた岡見さん、一般に紹介した江尻さん、両氏はさまざまなランの育種を手がけ、普及に努められましたが、セロジネにも強い関心を持っていたのかな、と感じます。

[note]参考にさせていただいたサイト様、文献
・RHSのOrchid Register
(http://apps.rhs.org.uk/horticulturaldatabase/orchidregister/orchidregister.asp)
・岡見義男著 ラン 種類と培養 昭和39年発行 誠文堂新光社[/note]

デンドロビウムの分類

Den. parishii
Den. parishii

デンドロビウム属はたくさんの種類があり、性質や形態のが激しく異なるものがたくさんあります。そこで、正確な分類が必要になってきます。ちゃんと理解できているかは自分自身で不明ですが、こんな感じかなと自分なりに解釈した「デンドロビウムの分類」に関する内容を記事にします。内容に関しましては、文末に記載しております「DENDROBIUM and its relatives」を参考にしました。洋書で自分の読解が謝っているかもしれないので、その点はお許しください。

古い分類から今の分類まで

デンドロビウムの分類を時代系列で追っていきましょう。まず、ルドルフ・シュレヒターによる4亜属41節の分類を見ていきます(1912)。
001
この分類は今でも広く認知されているのではないかと思います。デンドロビウム属を分類の根幹としています。
さらにF.G ブリーガーはその分類を大幅に見直し、属の上位分類であるデンドロビウム亜連(DENDROBIINAE)を6系列44属に分類しましたが(1981)、植物学者には受け入れられておらず、採用はされていないようです。

現在の分類

現在では、シュレヒター、ブリーガーの分類を合わせ、更に発展させたようなものもあります。「DENDROBIUM and its relatives(2000)」に掲載されている分類がそれです。この本ではデンドロビウム属を36節、さらに今までデンドロビウム属に分類されていた一部を格上げして12属にまとめています。更にその13属36節をデンドロビウム亜連でくくっています。階層ではなく、両方を混ぜてアルファベット順で一覧にしており、これはこれでわかりやすいので、一部抜粋して紹介します。ただ、この分類が広く認められているのかどうかはわかりません。あくまで解釈の1つとお考えください。
dendro
これを階層で簡単にまとめると以下のようになります。
dendro2

デンドロビウムの上位分類

今までの流れから考えると、上位分類の「亜連」更に上位の「連」から系統立てていかないと、すっきり分類できないのかもしれません。ちなみに、亜連より上位の分類は、以下のようになっています。
dra
単にデンドロビウムというと、デンドロビウム属の植物を指すのが一般的ですが、個人的には上位分類のデンドロビウム亜連に入れられている他の属も含めて、デンドロビウムと呼んだ方がいいのではないかと思います。
分類などに関しては↓以下の書籍が非常に詳しいので、機会があれば読んでいただきたいと思います。原種なども写真付きで網羅されているので、デンドロビウム好きには堪らないと思います。ただ、洋書(英語)です。

Dendrobium and Its Relatives

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セロジネの交配種いろいろ

セロジネとはなんぞや?と言う方は、「セロジネとその魅力」をご覧ください。
セロジネ交配種の花は似たようなものが多いですが、じっくり見るとちょっとずつ異なる違いが楽しかったりします。特にリップの色合いや模様の違いが堪らなくもあります。そんな交配種を紹介します。

インターメディア Coel. Intermedia

Coelogyne Intermedia代表的なセロジネの交配種です。生育も旺盛で、バルブの数も年々増えていって大株の開花は見事です。リップにレモンイエローの模様が入ります。芳香はややきつめです。花が一回り大きな大輪の品種マグニフィカム(Coel. Intermedia ‘Magnificum’)も比較的よく知られています。Coel. cristataとCoel. tomentosa(= massangeana)を掛け合わせた原種同士の交配です。花姿や性質が非常に優れているので、交配種の親としてもよく用いられているようです。

コスモ-クリスタ Coel Cosmo-Crista

Coelogyne Cosmo-Cristaインターメディアを少し大きくしたような花です。リップに入る模様はやや濃いめの黄色で、とりあえずそこで違いがわかります。花も若干こちらの方が大きめに見えます。こちらも芳香はややきつめです。基本的な性質はインターメディアと変わりません。Coel. Intermedia × Coel. cristataの交配種です。シンジュクと名前が振っていることがあるのですが、新宿御苑で作出された品種かはよくわかりません。

メモリア・オカミ Coel. Memoria Okami

Coelogyne Memoria Okami新宿御苑の品種で、シンジュクNO.7(資料によってはNO.8)のナンバリングがされています。花茎は下垂せずにやや斜上する性質があります。花はコスモ-クリスタに似ますが、上萼片が立ち上がるので見た目の雰囲気はやや異なります。名前に含まれるオカミはおそらく、セロジネの交配種をたくさん作出された岡見義男さんの事だと思われます。Coel. Intermedia × Coel. Shinjyukuの交配です。

メモリア・サダコ Coel. Memoria Sadako

Coelogyne Memoria Sadako新宿御苑の品種で、シンジュクNo.6のナンバリングがされています。ほかの交配種に比べると花数はやや少ないですが、存在感の強い大輪です。リップ全体が赤褐色に色づき迫力があります。どことなく片親である原種スペシオサの雰囲気を持っていると思います。色彩とか全然違いますが。Coel. speciosa × Coel. Intermediaの交配です。

セロジネとその魅力

最初に

原種トメントサ
原種マッサンゲアナ(トメントサ)

このページは「セロジネ」と言う洋ランの魅力とつきあい方を2ページにかけて紹介しています。
以下の順番で説明します。ランの花と言えば、カトレアやコチョウランのようにあでやかで派手に咲かせると言ったイメージもありますが、セロジネは楚々として粛々と咲くと言った感じです。嫌みがなく、シンプルなだけに飽きのこないところが魅力です。クリスタータやムーレアナは原種かと思えるほど洗練されており、マッサンゲアナ(トメントサ)の長く下垂する花茎は雄大さを感じさせます。ただ、原種は入手しづらい、花付きにムラがあったり、やや暑さに弱いものがあるなど、とっつきやすいとは言いづらいです(もちろん、フラクシダのようにとっつきやすい原種もあります)。そこで、おすすめしたいのが交配種のセロジネです。
セロジネの原種は100種程度が知られていますが、交配種の数はさほど多くないです。これは、原種そのまんまの花が美しくて見栄えがするので、改良の必然性があまりなかったからではないかと思います。ただ、交配種は原種の雰囲気を残しつつ、丈夫でとっつきやすいものが多いので、おすすめです。花に香りのある種が多いですが、満開時期はちょっと花につくほどきつい芳香になるものもあります。

つきあいやすい品種

コスモクリスタ(左)とインターメディア(右)
コスモクリスタ(左)とインターメディア(右)

往往にしてとっつきやすいものが多いとも言われますが、中には生育サイクルの把握しにくいものや、花芽を中々出してくれないものもあります。
最もつきあいやすいのは「インターメディア」と「コスモ・クリスタ(旧名シンジュクNo.8)」です。インターメディアは寒さに強くて花付きもよいセロジネの代表品種で、冬から春に花付きの鉢植えである程度で回ります。また、花の大きな個体「インターメディア’マグニフィカム’」も、ラン展でときおり見かけます。同じ系統の「コスモ・クリスタ」も非常に花付きがよくて生育も旺盛ですが、インターメディアほども出回らないのではないかと思います。いずれも交配種なのですが、インターメディアを更に改良(交配)した品種がコスモ・クリスタなので、性質も見た目もそっくりです。下の図は、2品種の系譜になります。コスモ・クリスタに関しましてはこちらのページに詳しくまとめておりますので、参考にしてください。

コスモ・クリスタとインターメディアと交配系譜
コスモ・クリスタとインターメディアの交配系譜

この2品種に関して言えば、5℃程度あれば冬越しできます。新芽の出る時期も5月~6月頃と一定しているので、栽培しやすいです。新芽の出る時期が不定期なものや1年に2回出るものは、生育サイクルが把握しづらいです。まとめますとこの2品種は

・暑さと寒さに強い
・花付きが非常によい
・生育サイクルが把握しやすい

などの特長が挙げられます。以降の内容は、インターメディアとコスモクリスタの性質を前提として説明させていただきます。
[note]

※補足「新芽の出てくる時期が一定」について

「新芽が出てくる→活発な生育期に入った」ということになります。それを合図として肥料をはじめたり、必要なものは植え替えをしたりします。ですから、新芽の出てくる時期が一定だと、いつ頃までにバルブが肥大して、花芽を付けるかという生育サイクルが把握しやすいのです。[/note]

具体的な生育サイクル

フラクシダ'ラッキーボーイ'とっつきやすい原種のひとつ
フラクシダ’ラッキーボーイ’とっつきやすい原種のひとつ

たいがい2月~4月に花が咲き、花が枯れて少し経ってから新芽を出します。新芽の出る時期はだいたい5月から6月頃です。新芽は夏にかけてぐんぐんと生長します。暑さが過ぎて気温が徐々に下がってくる9月中頃から一気にバルブが肥りはじめ、11月頃までに肥大が終わります。その後肥大したバルブの付け根あたりから花芽を伸ばして、2月~4月頃に花を咲かせます。毎年これの繰り返しです。
年々株が大きくなってくると、出てくる新芽の数が増えて、結果として花芽の数も増えます。上手に育てると、年を追うごとに花数が増えるので、育て甲斐があります。
生育サイクルの異なるタイプ(新芽から花芽を出すものなど)も多くありますが、ここでの説明は省きます。

栽培メモ

011■水が好き
株が大きく生長すると、バルブもしっかりと大きく育ち、たいがい花を咲かせてくれます。とにかく水が好きなランで、油断して乾かしてしまうと葉先が枯れたり、変によじれた葉っぱが出てきたりします。新芽が出てきてから秋にバルブの肥大が完了するまでは十分水を与えます。乾きにくいという点では、プラ鉢に水ゴケが管理しやすいですが過湿になって根腐れを起こすことがあるので注意です。プラ鉢を用いる場合は、株の大きさに対して少し小さめの鉢を使った方が失敗は少ないです。冬も乾いてきたらちゃんと水をやります。デンドロビウムみたいに乾かしてはいけません。

■風通しのよい日陰が好き
次に大切なのは置き場所です。基本的に薄暗い場所でよく育ちます。直射日光は葉っぱが黄ばんだり、最悪の場合焼けて枯れてしまうのでよくないです。風通しのよい日陰が適しており、吊して育てることができればなおよいです。当方では、屋外の雨ざらしの場所でよく育っています。秋に10℃を切るくらいの頃に屋内に取り込みます。一定の低温に当てないと花芽が伸びにくいと言いますが、インターメディアに関してはあまり関係ないように感じます。

■肥料は少し必要
肥料は少しあったほうがいいです。新芽が伸びてきたら液肥をときどき与えます。暑さでバテると根が肥料を受け付けないので、真夏は一旦やめた方がいいです。秋に涼しくなってきたら、バルブが完全に肥大するまで、リンカリの液肥をときどき与えます。
風通しのよい日陰で水を十分与えて、秋までに大きなバルブに育てることがポイントです。
[note]

※補足 セロジネを扱った書籍

洋ランの育て方を扱った実用書にはセロジネを取り上げているものも存外にありますが、紙面の都合上あまり詳しくは書かれていません。そんな中でも、一冊丸ごとセロジネを扱っている書籍が1冊だけあります。「NHK趣味の園芸・よくわかる栽培12か月シリーズ セロジネ」 がそれで、基本は月ごとの管理が記載されており、それ以外の基本情報も記載されています。[/note]

入手方法

冬から春にかけて各地で行われるラン展では、たいがい花付きのセロジネが出回ります。また、この時期なら初夏から新芽が伸び始めて秋にはバルブも完成し、翌年の開花も期待できます。

梅雨に咲いてますランの花

梅雨のじめじめ時期でも、何かしらランは咲いてます。そんな夏に向けての地味めなランを2つほど紹介します。

オサラン Eria reptans

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本にも自生する小型の野生ランで、洋ラン的に属名でいうとエリアの仲間です。梅雨時期になるとバルブの先端から花茎を伸ばしてちっちゃな白い花が1~2輪くらいつきます。花の寿命はランの中では短い方で、開いて2~3日くらいでシミみたいなのがちょこっと浮き出てきてしおれていきます。一番キレイなのは開花直後くらいです。バルブが行儀よく直列に連なって増えていきます。冬は落葉します。

手のひらサイズ
手のひらサイズ

寒さに強くて、凍結に気をつければ屋外で越冬できます。とりあえず、半日陰でたっぷり水やりすれば機嫌良く育ちます。ヘゴづけにしても楽しそうです。

ポリスタキア プベスケンス Polystachya pubescens

OLYMPUS DIGITAL CAMERAアフリカの小型着生ランです。開花時草丈15cmくらい。開花期は梅雨時期から夏くらいです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAバルブの生長がよければ、1本の花茎から十数輪の花を下から順番に咲かせます。花色は黄色で赤褐色の横筋が入るのが特長です。花の大きさは1.5cmくらいです。バルブがなければ何となくキンランとか日本の野生ランを彷彿とさせるような花です。花の寿命は10日くらいですが、一気に咲かずに順番に咲くので1ヶ月以上は楽しめると思います。

すきすきナゴラン

ナゴラン(名護蘭) Sedirea japonica

OLYMPUS DIGITAL CAMERAナゴランは単茎性の着生ランの中では一番好きな部類に入ります。でも、フウランも好きだし、エリデスとかバンダとかリンコスティリスも好きだしアジアばんざいですね。草姿はファレノプシスをちっこくしたような感じです。日本とか朝鮮半島のあったかいところ原産、野生蘭といったほうがしっくりきます。野生状態が見られるのかは別として。控えめで上品な花姿とその芳香が魅力です。

花の魅力

花の咲き方もファレノプシスそっくり、株元から花茎をみょーんと伸ばして3cmくらいの花が茎に沿っていくつか咲きます。花色は淡い緑でやや厚みがあります。リップやセパルに紫とか赤茶っぽい縦じまが模様が入ります。この模様をじっと見ていると自然が織り成すデザインの妙のようなものを感じます。初夏に咲いたり夏に咲いたり、年2回咲いたこともありました。そういう点では生育サイクルがやや不定期な感じがします。花姿も魅力なのですが、もうひとつの魅力は香りです。クセのない上品な香りで、胸がすっとします。昼間はぜんぜん香らないのですが、早朝に嗅ぐとすごく芳香を放っています。花持ちはよく、3週間くらいは咲いてます。

栽培

一度油断して、軽い葉焼けをさせてしまいました。それ以降は葉焼けが怖いので、庭の薄暗い場所に吊しています。基本はファレノプシスと同じですが、寒さにはだんぜん強いです。4月頃に室内から屋外に出しているのですが、特に株は傷んでないです。5℃程度あれば大丈夫な感じですが、大事をとって10℃ほどあったほうがいいかもしれません。肥料は1年に1回、新葉が中心から伸びてきていたら小粒の固形肥料を置き肥しています。
セッコクとかフウランに比べると少しむずがるかもしれませんが、葉焼けに気をつければ育てやすくて花は咲きやすい(個体差はあります)ランだと思います。ファレノプシスもそうなんですが、もともと少ない葉数でやりくりしてる分、葉焼けなどで傷めてしまうとその後の生長とか大変です。葉が命です。

ホリドータ キネンシスはよく咲く

Pholidota chinensisってこんなの

OLYMPUS DIGITAL CAMERA洋ランというよりなんとなく山野草とか野生蘭をほうふつとさせます。ぶっちゃけ言えば、おとなしくて地味めですがすごく丈夫です。
種小名の示すとおり、中国とかに分布する原種です。中国と言っても南部の方で、分布域にはミャンマーやインドシナなど東南アジアも含まれます。セロジネに近いと言うことで、水多めで夏は日陰で育ててます。肥料は夏前に1回くらいやりますが、ほとんど無肥料です。肥培した方がバルブが充実してたくさん花は咲くかもしれませんが、秋までやると今度は花付きが心配なので、花後に最低限だけやってる感じです。でも…やっぱり小さいバルブから出た花穂は、短くて花数も少ないです。
バルブの上にやや硬めの葉っぱを2枚付けます。緑が濃くて光沢があり、立てに数本の筋が入ります。3月頃から花茎が上がってきて、5月に入って気温が高くなると一気に開きます。花はリップがくっきりした白色で他は透明感のある薄白、大きさは1cmくらいです。花茎を湾曲させて花茎が垂れ下がるように咲きます。

日射しとか

OLYMPUS DIGITAL CAMERA遮光はネットをしているわけじゃないのではっきり言えないのですが、夏に置いている場所は遮光率50%~70%くらいになってるんじゃないかと思います。ファレノプシスが葉焼けしない程度の場所です。セロジネ・インターメディアが同じ場所で(おそらく日照不足で)作落ちしちゃったんですが、ホリドータは特に問題なく花がいつも通り上がってきたので、日陰はけっこう好きみたいです。毎年6月頃までは午前中いっぱい日の当たるところに置いてるのですが、葉焼けはしていないです。ときどき葉先が枯れてることがあるんですが、これは水不足かなあ…と思ってます。わかんないですけど。

寒さとか水やりとか

寒さには強いです。最低気温が5℃切るかな、といった時期になったら室内に取り込んでます。冬の水やりは2週間に1回だと思います。鉢を持ち上げてえ、「うわっ、(乾きすぎて)軽くなってる!」と感じたときにやってるのっで正確にはわからないです。春から秋は適当にびしゃびしゃやってます。プラ鉢を使って発酵バーク(ネオソフロン)で植え付けてますが、今のところ根腐れは大丈夫です。ちゃんと育てて、バルブぴっちぴちの株に仕立ててあげたいなと思うのですが、ほぼ放置でも元気なので、毎年そんな感じになっています。

一息ついて初夏のラン

春の洋ラン開花ラッシュ(といっても、当方ではそんなことはないですが)が一息ついて、次は初夏のランです。といっても春に咲くものが遅れてようやくとか、不定期咲きのものがちらほらといった感じです。

Dendrobium Uaeng Thugne デンドロビウム ウェン・ツェン

OLYMPUS DIGITAL CAMERAみんな大好き黄花の原種、Den. lindleyi(リンデリー)をそのまま小さくしたような姿の交配種です。リンデリーは育てていないので知らないのですが、ウェン・ツェンはすごく花つきがよい種です。リップのふちが細かく切れ込んでいて、奥に行くほど黄色が濃くなり何か引き込まれそうな魅力があります。

Angraecum leonis アングレカム レオニス

OLYMPUS DIGITAL CAMERA咲いて間もないころはほんのり緑色がかっていて、なんとなくはかない雰囲気。夜に香るというのですが、当方にある株は全く香りがしません。距がみょーーんと長く伸びる姿が特長的です。ペタルが妙に反り返るのですが、そういう個体のメリクロンでしょうか。ホームセンターなどで見るレオニスも同じような花姿のものが多い気がします。昨年の11月ころから花芽が伸びてきて、無加温で冬越しさせて咲いたのが今でした。

Phalaenopsis sp. コチョウランの一種

OLYMPUS DIGITAL CAMERA3~4年前にやってきた花終わり品。どこにでもある中輪咲きの白花コチョウランです。これも、昨年10月ころからは花茎が伸び始めたのですが、4月の終わりころから1輪目が咲きはじめ、つぼみが一通り開いたのはちょうど今頃です。早めに花を終わらせて、葉の生長に栄養を持っていたほうがよいかもしれないです。